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やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

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fainal2/2-9

「佳代ちゃん!」

 金網のフェンス越しに、有理と尚美が現れたのだ。

「相田……」

 背を向ける直也。気まずさで直視する勇気がない。
 そんな心境など佳代は知る由もない。フェンスに近寄って、笑顔で迎えた。

「試合、大丈夫なの?」
「うん。病院から許可もらったし、出るつもりだよ」
「肩は?もう痛くない」
「全然ッ!しばらく休んで、却って調子良いくらいッ」
「頑張ってね!応援してるから」
「任せて!絶対に勝つからッ」

 女子逹の賑やかな声を背中に受け、直也は独り、取り残されたように固まっていた。

 すると、

「あの……川口くん」

 背後から彼を呼ぶ有理の声。直也は間を置かずに振り返る。

「な、何かな?」

 伏し目がちのままで視線が合わせられない様を、佳代と尚美は含み笑いで見守っている。

「昨日はごめんなさい。わたしも突然のことに、気が動転しちゃって……」
「あ、ああ、あんなの気にしないでよ!俺が調子に乗って言ったのがマズかった訳だから」
「でもね、本当は嬉しかったの!男の子から告白されるなんて初めてだから」
「相田……」

 思いもしない言葉に、直也は血が逆流するような感覚を覚えた。知らず知らずに有理の目の前に立つと、彼女と顔をつき合わせていた。

「帽子に書いた言葉みたいに、強気で頑張ってね!」
「ありがとう……精一杯やるよ」

 そう答えた次の瞬間、佳代と尚美は両手を打ち鳴らし、夢のような出来事を祝福した。

「どういう経緯かは試合後に聞くとして、とりあえずおめでとう!」

 叫び出したいほどの喜び。なのに今の状況が、それを許してくれない。

「煩せえ!無駄口利いてないで、さっさとキャッチボールやるぞッ」
「ちぇッ!もうちょっと聞きたかったのに」

 終わり良ければ全て良し──紆余曲折あったが、想いは成就した。後は、この試合に全てを賭けるだけだ。
 直也の中は、先ほど以上のやる気で漲っていた。




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