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守りたい。
【初恋 恋愛小説】

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守りたい。-1

俺の名前は深谷良平(ふかやりょうへい)。高2の16歳。つい3日前に進級したばかりだ。部活はしてないが、外部の空手道場に通っている。
今も空手で汗を流した帰りだ。そして道場を出てすぐの角を曲がるとそこであの子に会った・・・・
「あっ!りょうちゃん!空手の帰り?」
「うん。亜希は?」
「私はね、いい子だからお使い♪」
「はいはい。あ〜腹減った。亜希んち夕飯なに?」
「うちはね、肉じゃがだよ!」
買い物籠の中の肉じゃがの材料を見せながら嬉しそうな笑顔で亜希はそういった。
『可愛い・・・』
俺にそんなことを思わせるこの子こそが、俺が物心ついたころから、今までずっと好きな東堂亜希(とうどうあき)。同い年で高2、16歳。笑顔が可愛くて(まぁ黙ってても可愛いけど)勉強も運動も出来る完璧なやつ。でもおっちょこちょいでドジ。家が隣同士で、家族ぐるみで仲がいい。
「何ボーっとしてんの?」
「なんでもない!」
「ふ〜ん。変なの・・・」
昔は“好き”っていうのが女としてではなく、妹とか幼なじみとしてだと思っていた。でもある日、あの事件があってから気付いたんだ。


8年前−−−−−


俺達は小3で8歳だった。亜希は当時から可愛くて、俺は亜希を妹のように可愛がっていた。
まぁ学校内では女友達と遊んだりした方がいいだろうと、幼いながらに気を使って、それぞれの友達と過ごしていたが、学校を出れば話しは別。俺達は当たり前のようにいっしょにいた。
しかし、ある日を境に亜希はいじめられるようになった。いじめたのはガキ大将の三河直泰(みかわなおやす)、子分の赤畑太朗(あかはたたろう)と入江和明(いりえかずあき)の三人組。
いじめられるのは決まって二人で下校してる時だった。公園の茂みに隠れて待ち伏せして、いきなり後ろからランドセルを引っ張り転ばせるたり、俺を赤畑と入江が押さえ付けて、その間に三河が亜希のスカートを引っ張ったり、ランドセルの中に虫を入れたり、追い掛けまわしたり・・・・。
亜希は泣きながら逃げ回ってるのに、俺は押さえ付けてられて何も出来なかった・・・。
そんなことが2、3回あってから俺と亜希は校門を出てから家まで必死で走って帰るようになった。

亜希が怯えながら走ってるのが見えた。それは一度も俺が見たことのない顔だった。それをみるたび、情けなくて、どうすればいいかわからなくて堪らなかった・・・・・。

そして悩んだ末、俺は2つ年上の兄・龍平(たつへい)と5つ年上の兄・洋平(ようへい)に相談した。


ちなみに、龍平は亜希の姉で同い年の亜由(あゆ)に片思い、洋平は亜希の兄でこれまた同い年の亜哉斗(あやと)と親友という仲にある。そしていつも余るのが東堂家の長男で良平と亜希より8つ年上の亜雄斗(あおと)である。そのためいつも大人の会話に混じっている亜雄斗はかなりしっかりしている。


「お前駄目だなぁ〜。亜希ちゃん守って戦わなきゃ!!」
「洋兄(洋平)こそ駄目じゃんか。良平はそんなに強くねぇよ・・・・。亜希ちゃんの前でだけ兄貴ぶってるけど。」
「龍平、力じゃないんだよ。俺も亜哉斗といっしょにガキ大将にいじめられたことあってな」
「嘘だぁ!亜哉兄も洋兄も空手やっててすごく強いじゃん!」
「空手始める前だよ。ガキ大将にボコボコにされて砂まみれで、膝を擦りむいて痛かったけど、そいつがまいったって言うまで飛び掛かっていったんだ!そしたらさ、ガキ大将【いいかげんにしろ】って泣きながら帰っていったんだ。それから亜哉斗と【もっと強くなろう!】って空手始めたんだ」
「やっぱり力じゃんか!意味わかんないよ。」
「力をつける前に、自分の心の強さでも勝てるってことをわかっててほしいんだ。心で勝つってことは自分が無力なことを認めた上で立ち向かっていかなきゃいけなくて、逃げたくなることだけど、それを乗り越えると【俺はもっとなにかが出来る】ってワクワクするんだ。だから良平も、力で負けてもいいから心で勝ってこい!そしたら今度は力でも勝てるようにしてやるよ!」
「うん!俺、亜希ちゃんのために勝つ!!そして守る!!」


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