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恋に変わるとき
【青春 恋愛小説】

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狂い始める歯車-1

「まーた、土壇場で怖気づいちゃったわけえ?」


呆れ顔でハーッと深い深いため息を吐くのは、学食のナポリタンを啜る輝美。


責められているような視線に耐えかねて、あたしは輝美の綺麗に彩られていたピンクのグラデーションネイルを見つめるしかできなかった。


「だっ、だって……」


「これで何回目よ? ホント寺島先輩可哀想過ぎるわ」


「それは、あたしもそう思うんだけど……」


ウジウジ膝の上で両手を絡ませるあたしに向かって、輝美がズイッと身を乗り出してきた。


Fカップある輝美の胸が、白いテーブルの上にドンと迫る。


「ねえ、なんでそんなにビビるわけ?」


「だっ、だって……裸見られるの恥ずかしいし……」


「そんなの相手も真っ裸なんだからお互いさま!」


「初めてって痛いって言うし……」


「そんなの女はみんな乗り越えてきてる!」


「変な声なんて、とても出せそうにないし……」


「気持ちよければ声なんて自然と出るの!」


いろいろ不安要素を打ち明けても、輝美はそれをバッサバッサと斬っていく。


やっぱり経験してしまえば処女の持つ悩みや不安なんて全て笑い飛ばせるようなものなのだろうか。


「ねえ、輝美? 輝美は初めての時は怖くなかったの……?」


輝美だって、経験したのはつい最近のことなのだ。


輝美は、綺麗でセクシーなお姉さん系だけど、驚くことに今まで付き合ったことがなかったという。


なぜ美人な彼女が今まで彼氏を作らなかったというと、「自分がホントに好きになった人としか付き合いたくなかったから」という理由だったそうで。


自分がイイ女だという自覚があるのだろう、だから恋愛に対し妥協もせず、かといって恋人がいないことに焦りを見せることもなかった。


そんな彼女が合コンで知り合った彼と付き合い始めたのは、あたしが優真先輩と付き合うよりも後のことだった。


恋愛に一切妥協を許さなかった輝美が、合コンで知り合ったという男にお持ち帰りされ、そのまま一夜を過ごしたという話を聞いた時は、目ん玉が飛び出るほど驚いたものだった。




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