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勝利の女神は側にいる
【その他 官能小説】

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勝利の女神は側にいる-9

…ガーッ!
『いらっしゃいませっ!お一人様でしょうか?』
『い、いや…人を探してるんだけど…』
さっきまで座っていた席を覗く。グラスは置いてあるが、誰も座っていない。
『……もう、帰ったのか…』
うなだれる僕。重い足取りで店を出ようと思った。その時だった。
『遅すぎ…』
背後から聞こえた声。彼女だった。
『あっ、いや、その…ごめん…』
『ホントにぃ?こんな可愛いコを独りっきりにしたんだよ。反省してるの?』
可愛いってのはともかく、独りにして待たせすぎたのは確かだ。せっかく会社の方はウマくいったのに…
まるで、ふりだしに戻った気分だった。
『はい…悪いと思ってます…』
力なく答えた僕。
『じゃさ、それなりの誠意ってのを見して欲しいんだけど…』
『えっ…?』
『もぉ〜っ!気が利かないなぁっ!!デートの続きっ!』
『デッ、デートぉっ!?』
デートって言葉を聞いた瞬間、緊張と混乱が僕を襲った。しかし、端から見たら確かにデートと思えるシュチュエーションだろう。
『今日は私のオゴりでイイよっ!だって、会社の方はウマくいったんでしょ?お祝いの代わりって事でイイかなぁ?』
黙って頷く僕。緊張で声が出ない。
『じゃ、行こっか。』
手を握られ、ズルズルと引きずられる。そして、そのまま表へ。
『さて、どこ行く?』
しかし、返事が出ない。
《デート…かぁ…》
ボーっとした僕。完璧にイッてしまっている。
『もぉっ!!何、ボーっとしてるのよっ!シャキッとしなさいっ!』
彼女がグーで、僕の頬を軽くこづいた。しかし、今の僕にとっては地獄だった…
『痛ってぇ〜っ!!!!』
『あっ、ごめぇんっ!!そんな痛かったのっ!?』
顔を押さえ、しかめっ面になる僕。それを心配そうに見る彼女。
『だ…大丈夫…だよ…とりあえず、お願いがあるんだけど…』
『な、何?』
『缶ジュース買ってきたいんだけど…ほっぺた、冷やしたいからさぁ…』
情けない返事に笑いだした彼女。それにつられて僕も笑った。痛いけど楽しい、本当にそう感じた。

−その後、彼女と二人で側にあるショッピングモールに行った。洋服屋を覗いたり、アイスクリームを食べたり…

−時間は6時過ぎ。アーケード内に、学校帰りの中高生とかが増えてきた。
『ねぇ、あれ…』
彼女が指差した先にはプリクラ。
『一緒に撮ろっ!』
何度か昔の彼女と撮った事はあるが、相手が相手だけに緊張しまくり。
『い、イイよ…』
二人でカーテンの中に入る。
…カシャンカシャンッ!
『ねぇ、フレームはどれがイイ?』
聞いてない。狭い空間に二人っきり。もう、心臓がバクバクして止まりそう…
『これなんか良さそうだなぁ…ね、ね。これにしよっ!これに決定っ!!』
そう言って設定した途端、彼女が抱きついてきた。
『いっっ!?』
『何?イヤ?』
ブルンブルンと首を振る僕。彼女の胸が腕に当たる。かなりデカい…
『ほらっ!前、見なきゃっ!!』
そう言われて画面の方を向いた。
…チュッ!
右の頬に当たる唇。それが画面に映る。
『……』
固まる僕。頭の中は、真っ白だった…

−撮影が無事に終わり、プリクラが出てきた。4枚切りになったそれには、シッカリとキス写真が写ってある。
『うん、イイ出来。さっ、飲みに行こっか?』
『あっ、うん…』
変な返事。恥ずかしさと緊張、それに気持ち良さが入り交じったそれだった。
『ねぇ、あんまり楽しそうに見えないけど…私と一緒だと、イヤ?』
寂しそうな顔で僕に聞いた。
『いっ、いやっ!そんな事ないって!』
『ホントに…?』
『い、いや…緊張…してて…』
いきなり笑いだした彼女。
『なぁんだ、そうだったの。フミ君もなんだね。実は私もなんだ…』
彼女も…
僕には、そう見えなかった。でも、彼女も緊張でガチガチだったのだ。しかし、それを表に出さない。
僕がいつまでも情けない表情をしているワケにはいかない。勇気を出して、口を開いた。
『いっ、行こうよっ!飲みにっ!』
『で、どこに?』
この辺りにはあまり、居酒屋とかはない。あるとしたらこの間、明人さんと行ったバーくらいだ。
『この辺だとなぁ…』
思い当たる店などない。悩んでいると、彼女が口を開いた。


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