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勝利の女神は側にいる
【その他 官能小説】

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勝利の女神は側にいる-8

『決めたっ!僕、これから会社に行くよ。もし、ウマくいったらまた、こうして会ってくれる?』
『えっ…?』
『あっ、いや…別にイヤならイイんだけど…』
ちょっと勇み足すぎたかも…
恥ずかしさに顔を伏せる僕。しかし、彼女の口から驚く様な返事が出た。
『イイよ。』
『はぁっ…?』
『イヤなワケないじゃん。その代わり、必ず成功させてくるんだよ。そうと決まったら、急いで行かなきゃっ!私、ここで待ってるからさぁ。』
『あっ、ありがとうっ!絶対戻ってくるからっ!』
僕は店を飛び出し、会社に向かった。もう、余計な事は考えられない。とにかく今は、社長に会わなければ。
走る僕。この先、どうなっても構わない。後悔したくない。ただそれだけだった…

…ガチャッ!
扉を開ける。会社には明人さんだけがいた。
『史彦…お前…』
『社長はっ!?今すぐにでもっ!!』
キョトンとした顔の明人さん。しかし、すぐに笑顔に変わった。
『会議室で待ってな。もうすぐ戻ってくると思うぜ。』
『あっ、はいっ!』
促されるまま、会議室に入る僕。扉はもう、直っていた。すぐに明人さんが入ってくる。
『ほれっ。飲むか?』
缶コーヒーを渡された。
…クポッ!
『緊張してるか?』
『は、はぁ…』
『しかしお前、彼女の方はどうなったんだ?』
『それが…』
…ガチャッ!
いきなり扉が開いた。社長だった。
『おっ、和哉。戻ったのか?』
『おお、バッチリだったよ。』
社長の声。さすがに緊張してきた。脈拍が早くなってくる…
『おい、史彦…』
『はっ、はいっ!』
『ツラ、見せろ。』
その声に合わせて恐る恐る振り向いた。
『……』
黙って僕を見つめる社長。もう、心臓が飛び出そうだった。
『う〜ん…思ったより腫れてねぇなぁ。俺もパンチ力、落ちたかなぁ?』
『はぁっ!?』
茫然としている僕。それを見て、急に笑いだした社長。
『はははっ!悪かったな。思いっ切り殴って。おかげて俺も、こんな感じだよ。』
包帯の巻かれた右手。その上からでも分かるくらい、腫れていた。
『社長…その手は…』
『ん、あぁ。お前をブン殴ったら、骨が折れてよ。俺もヤワになったよなぁ…』
『ぼ、僕も奥歯を…』
『なぁんだ、ドローかよ。じゃ、仕方ないな。ところで…』
社長の顔つきが変わり、僕を睨む。
『史彦…』
『は、はい…』
しばしの沈黙。雰囲気に耐えられず、口を開こうと思った僕。しかし、それを遮るかの様に、社長が口を開いた。
『来週から来い。』
『えっ…』
『明人から聞いたぞ。話だけで充分分かった。その代わり、次は無いからな。分かったかっ!?』
『はっ、はいっ!!ありがとうございますっ!!!!』
深々と頭を下げる僕。胸の中が熱くなる。恐怖心が消え、少しずつ安堵感が心を包む。
『で、彼女はどうした?』
和哉さんがいきなり聞いてきた。
『かっ、彼女って…?』
『ファミレスに置きっぱなしか?待たせちゃマズいだろ。急いで迎えに行けっ!』
意外な発言。それ以上に和哉さんが何故…
『あの…何で…?』
『外から見かけたんだよ。お前が女の子と一緒にいるのをな。』
それを聞いて、笑顔で僕を見る明人さん。少し気まずくなってきた…
『で、でもイイんですか?僕…』
『業務命令だっ!イイから早く行けっ!!くれぐれも、パチンコ屋なんか寄るなよっ!』
『はっ、はいっ!!じゃ、失礼しますっ!』
急いで会社を飛び出した僕。もう、心ここにあらず。とにかく、さっきのファミレスに急いだ。

“会議室での二人”
『しかし和哉、お前も甘くなったなぁ。』
『バカっ!お前がどうしても、って言うから仕方なく…』
『ん、俺はそんな事、言った憶えないけどなぁ。』
『うっ、うるせぇよっ!!そんなの関係ねぇだろっ!』
『それより史彦達、ウマくいけばイイけどなぁ…』
『あぁ、じゃなきゃクビだな…』
『職権濫用しまくりだな。オマケに一貫性ない発言ばっかして。』
『お前…その皮肉、どうにかしろよなぁ…』


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