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恋に変わるとき
【青春 恋愛小説】

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臆病風に吹かれて-3

深いキスを交わすうちに、優真先輩の右手がそっとあたしの胸を包み込んだ。


最初は恐る恐る、次第に大胆に。


服越しだけれど、男の人に触られたそこは、ジンジンと熱を持ったように火照ってくる。


やがて形が変わるほどそれを揉みしだかれると、あたしはたまらずに


「……はあっ!!」


と、イヤらしいため息が出た。


「恵……」


少しずつ荒くなってくる彼の吐息。


そしてその手もさらに大胆になってくると、あたしの黒いアンサンブルニットの中に入ってきた。


やだ……。


ピョコンと芽を出すあたしの恐怖心。


息を荒くしてあたしの身体をまさぐる優真先輩が、いつもの優しい彼からオスとしての彼へと変貌していく。


……怖い、怖い、怖い!!!


「いやあっ!!」


優真先輩があたしのブラジャーのホックを外した所で、あたしはドンと彼の胸を突き飛ばしていた。


「恵……?」


呆気にとられた彼の表情は、いつの間にかオスとしての表情を失っていた。


「ご、ごめんなさい……、あたし……やっぱり……」


震える唇をなんとか開き、これ以上は無理だと精一杯伝える。


気まずい沈黙。


あたしは優真先輩の顔をまともに見れず、ただ俯いて下唇を噛むだけだった。


「……無理しなくていいから」


優真先輩は、小さく息を吐いてから、あたしの頭を優しく撫でた。


ゆっくり顔を上げれば、ニッコリ笑う優しい笑顔。


「優真先輩……」


「ごめんな、恵が好き過ぎて焦っちゃった」


そう言って謝ってくれた優真先輩の顔は、どこか寂しげな顔をしていた。


その表情に、ズキッと胸が痛む。


「い、いえ……」


謝るのはむしろあたしの方だ。


こんな流れになったら、そのまま最後まで身を委ねるのが自然なんだと思う。


それをあたしの都合だけで拒否してしまい。


これを何度繰り返したら、あたし達は一つになれるのだろう。


今日みたいなことは、もう何度もあった。


キスまでなら平気なのにそれ以上の展開になろうとすると、たまらなく恐怖心がこみ上げてくるのだ。


優真先輩が好きなのは紛れもない真実なのに。


怖がってばかりで先に進もうとしない、臆病風に吹かれる自分がたまらなくイヤだった。




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