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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#04  研修旅行――三日目-3

「なにがいやなんだ?大層な逸品ができたじゃないか、君らしくもない」

「ぅおい!喧嘩売ってるだろ、岐島ァ?」



そんな能面男へと私は半眼で見上げた。

左隣に座るミスター奇人――もとい岐島仙山である。

蕎麦→昼食→濡れせんべいのヘヴィーローテーションをこなし終えた大満足の暴食漢は、いつもの三割り増しの爽やかさで肩をすくめてきた。

といっても、挑発って意味ではないだろう。ただ単に否定するつもりだっただけにちがいない。

――そうとわかって、それでもムカつく感はいなめないことこそが問題なんだろうけど。

ただ、本気で喧嘩するつもりなど毛頭ない私は続けた。



「そーだよ!私ゃ、不器用だよ!ドジで間抜けな女だよ!」

「そこまでは言ってはいないんだが……読心術かい?」

「思ってはいたのかよっ」

「…………え?」

「ブッ飛ばすぞ、クソヤロー!」



失言に気付けていないバカを一瞥、私はバンバンと膝の上に聳える我が生涯の中でも類を見ない傑作を八つ当たり半分、乱暴に叩いた。

竹製の、こう、湾曲したラグビーボール型の鳥籠はミシリと悲鳴を上げた。

けれど、そんなモノは看過するに決まっている。なにせ、



「あのなぁ、私がこんなドえらいものを独力で作れるとでも思ってんのか?ああ?」

「無理だね、百パーセント」

「ソコまでいうことねえだろ!って、ああ、くそ、じゃなくてな!たく、いちいち話しの腰を折るんじゃねえ!」

「わかってるよ、林田さんに手伝ってもらったんだろう?」

「…………そーだよ」



そうなのだ。このどっからどう見ても完璧な鳥籠は委員長様閣下のご助力の賜物なのである。

なのである――のだが、それを告白する前から当然のように悟られているというのは、それはそれで腹立たしいものを覚えなくもない。

んまあ、相手が岐島の時点でイライラしてもこちらが損するだけなんだけども。

そうやって、どうにもならない憤懣に私がくちびるを尖らせていると隣――岐島と反対側からやけに弾んだ声が聞こえてきた。



「見て、柚子!この均整の取れた楕円のフォルム!寸分の狂いもない竹ヒゴの切断!美しいわ、この完璧さ!いいえ、完璧に計算されたものこそが美しいのよお!」

「それ、十二回目よ、尊?」

「うふふ?そう?ああ、でも、いいわ、この等間隔の柵が織りなす湾曲した――」

「……十三回…………」



林田である。クルクルと手の中で自作の鳥籠を回し眺めると逐一、感嘆の声を上げていた。自画自賛この上ことないことだ。

そんな友人へ小声で突っ込みを入れるのはその更に隣に座る相原だ。

けれども、その声が林田の耳に届くことはなかったようで、最終的には呆れたように嘆息することにしたらしい。

私はこっそりと相原へと憐憫の眼差しを送った。

というのも、あの完璧主義者であるクソ委員長のご自慢を最初に拝すことになったのは一緒に作業をしていた私であるのだから、その苦痛はすでに経験済みだ。

これが、最悪のひとつ。


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