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The end of the DragonRaja,
【二次創作 その他小説】

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The end of the DragonRaja, Chapter 1[Life and death]-6

 シュリは俺の幼馴染が属するギルドのギルドマスターである。
 シュリ自身は屈指のプリーストというわけではないが、
 人をまとめる指導者的資質のようなものがある。
 このギルドはプリーストが多く、戦場での要だ。
 プリーストは他の対人向けのクラスとは異なり、戦闘補助に特化したクラスである。
 一時的な攻撃力増加魔法や、守備力増加魔法を駆使し、戦闘の手助けを行う。
防御力を瞬間的に上げるセーブフロムデンジャーや、
 掛かった対象者は技及び魔法が使用できなくなるが、
 全ての攻撃を吸収してしまうサンクといった魔法は戦場では欠かせない。
ただしサンクは、ウォリアーのライトニングショックという技や
 アーチャーのコンバーティングアーマーという技を吸収することはできない。
 それらは対象者の防御力を低下させた上で攻撃する技である。
ゆえに貫通技と称され、戦場では最も忌み嫌われる技の一つだ。
 またプリーストは負傷した者を癒しの魔法で回復させ、戦線に復帰させることができる。
 これらを鑑み、プリーストがいるいないでは、戦闘に歴然の違いがある。

 一通りの命令を終え、マルトースは考えていた。
  
(基盤はできている、あとはヴァルキリー達の働き次第か。
 不安要素がないわけではないが、戦局の分岐点だ。これで失敗した時は…。)

 そこまででマルトースは考えることを止めた。
 一度ふぅと溜息をついてから、
 今は前に進むしかない、という決意が表れた瞳で参加者を一望する。

「雪原戦に備え、各自英気を養え。雪原戦前夜にもう一度会議を行う。以上解散。」

 マルトースは、報告書をまとめながら一仕事終えたという顔をしているアランに、頼むぞ、と
 落ち着いてはいるがどこか覇気のある声をかけ、会議室から退出していった。
 その短い言葉によって、気の抜けた顔は既に失われ、自分の役割の大きさに負けまいと、
 赤い蠍の旗を見ながら握りこぶしを作っているアランがいた。

 窓の奥からは、既に小鳥の鳴き声はなく、代わりに降り出した雨の音が聞こえてきた。


No.3 「theidealandreality」

 国王直属ギルドの彼等には城内に専用部屋が割り当てられている。
 アランは慌てて会議室を退出し、その集会部屋へ続く長い廊下を駆け出している。
 ギルドへの作戦伝達に関しては、彼の出る幕はない。
 ギルドは横の繋がりが深く、密な連携が取れている。
 ストリームブリンガーに関して言えば、既にヴァルキリーが伝達に赴いたはずだ。
 会議が終えてすぐに、退出した彼の姿がそう確信させる。
 そうなると、アランには特にやる事はないのだが、あくまで彼は副団長である。
 命令が出た際に、副団長の姿がなく、団長のみであれば、形式として収まりが悪い。
 揺ぎ無い決意をしたアランではあったが、考えすぎていた。
 気がつけば会議室には彼のみとなっていた。
 ギルド時代の人の上に立つことの無かった彼の面影が残っている。
 
 ストリームブリンガーの部屋のドアを開けると、
 既に隊員の面々がヴァルキリーの話を静かに聞いている。
 ヴァルキリーは、アランを気に留める様子もなく淡々と話し続けている。
 視線をこちらに向ける者もいたが、何事もなかったかのように、
 再びヴァルキリーに目を向ける隊員達。
 ただ1人、レクサスを除いて。
 レクサスのいつものきりっと鋭く細い目が、より一層閉じられるような目でアランを見つめる。
 今にも笑いを堪えられないと訴えている歪んだ口元を見れば、
 レクサスが何を言いたいのかアランにはわかった。

(またこいつは俺がヴァルキリーに怒られるのを楽しんでるな…。)

 そう思った矢先、早速一通り命令を伝えたヴァルキリーが、ドア前にいるアランの方へ振り返った。
 
「やっと来たか…。確かにこの大事な命令を伝えるのは団長の俺がやるべきだ。
 しかしだ、お前がこの場にいなくても良いというわけではないっ!
 いい加減己の立場をわきまえろ。
 ストリームブリンガーが結成されてまだ間もないが、
 あまりにもお前は副団長としての自覚がなさすぎる。
 むしろどこか抜けている、抜けすぎている。…俺には理解できない。」

「…すいません。」

 ヴァルキリーがやれやれと思いつつ、重い溜息をついているのを見て、
 アランはとりあえず謝るしかなかった。

「いやいや団長、こいつは昔っからこうなんだ。たぶん一生このままさ。
 こいつにいちいち構っていたら、団長の胃に穴があくぜ?」


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