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The end of the DragonRaja,
【二次創作 その他小説】

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The end of the DragonRaja, Chapter 1[Life and death]-17

 ――増えたっ?
 そう感覚で捉えたシュリの表情は先ほどまでとは異なり、険しいものとなった。
 先ほどはレナス外部寄りの大草原まで行軍していた敵本隊が、今レナス外部に侵入し始めている。

「北西から敵が抜け始めるわっ!」

 シュリが言い終るより少し早く、
 彼女の右手前にいたウィザードが炎属性魔法ファイヤーバードを唱える。
 火の鳥が敵を包むのを見やりながら、彼女自身もリーフと同じく補助魔法の詠唱をしつつ
 杖を取り身構える。

「西から回り込まれる、前線包囲されるわ、乱戦覚悟してっ!」

 シュリが言ったとおり、西からのバイサス軍は前線を包囲し、一部が彼女達に向かい攻め込んでくる。
 彼女の杖を持つ手に一層力が入る。
 臨戦態勢を取る為と、予想以上の敵の数が侵入していることに対する憤りゆえに。

 リーフもまた杖を取り臨戦態勢を取りつつ、呪文の詠唱を続ける。
 しかしその時、敵ウィザードの唱えた雷属性魔法ラディアスが当たり一面に落とされる。
 激しい電撃の嵐が周囲のもの全てに強力な電磁波と電気エネルギーを与え、
 側に立つ木々を薙ぎ倒し、岩を粉々に砕く。
 幸いリーフの保護魔法により、死者がでることはなかった。
 しかしその代償に視界が土煙で奪われる。
 土煙の外からは、アーチャーやシーフによる矢とナイフの雨が降り注がれる。

「固まって!」

 シュリの一声で、リーフは彼女の意図を察する。
 彼女達は完全防御魔法サンクを掛けることにした。
 しかし、視界が悪いため側にいる者にしか保護をかけることはできない。
 そのための一言だったのだ。
 シュリとリーフは背を合わせ、彼女達を中心にギルドの面々が囲むように集まり、
 彼らもまた彼女達に背を預ける。
 ただ、今土煙の外へ出れば、敵の集中砲火を受けてただでは済まされない。
 今は全員にサンクがかかるのを、彼女達は息を潜めてただ待つしかなかった。

(全員にサンクがかかったら散開するか?
 ただ敵の位置がわからない。
 それにおそらく敵のプリーストも既に内部侵入しているだろう。
 仮に敵にも保護魔法がかかっていれば、多対一の状況を作らない限り、殲滅は難しい。)

 シュリがそこまで考えた時、彼女達を攻撃する敵の手が止んでいることに初めて気がついた。
 前線の部隊がこちらの守備に回ったのだろうか。
 しかし、そうなると前線の戦局が不利になってしまうというのに。
 彼女はこの窮地を打開する策を見出すために、目を閉じ苦悩していた。
 しかし、リーフの声で彼女の思考は一旦止まる。

「アラン!」

 目を閉じていたシュリには、土煙が収まったことに気がついていなかった。
 そして、あのアルフォンスのギルドで名を馳せ、
 ストリームブリンガー副団長となったアランの戦う後ろ姿を見て、
 目の前の現実に思考が追いつきだした。
 リーフは真っ先にアランの下へと駆け出している。

(まったく仕方ないわね、あの子はこの状況で…、若すぎるわ。)
 
 シュリは単身で駆けつけたアランを見て、リーフの行動を納得せざるを得なかった。
 彼には保護魔法がかかっていないので、回復ポーションを使いつつ、うまく戦闘を維持させていた。
 彼の後方には、彼の奇襲により絶命した二つの亡骸が地面に横たわっている。

「みんな! 一旦アランと合流して共に殲滅するわよ!」

 アランはリーフを庇うように敵4人と対峙していた。
 敵3人がアランに向けて飛び掛って来た時、
 彼は一番右の男アーチャーに護身用のダガーを投げつけた。
 しかし、ダガーの軌道はその男には避ける事は造作も無かったので、
 男は笑みを浮かべ、口を歪ませた。
 ただその男はおそらく2つ後悔するのだろう。
 男がかわしたダガーの軌道の延長上には、呪文を詠唱していた女ウィザードがいて、
 投げつけられたダガーは心臓を突き刺し、女は仰向けに倒れたこと。
 そして、ダガーが女の肉を裂く音に男は反応し、後ろを振り返り敵に背を向けてしまったことで、
 アランと共闘するために駆けつけたシュリギルドのアーチャーの、
 5本の矢を同時装填できる炎属性の技マルチにより、
男の体に5本の矢を覗かせていたこと。
 己を討ち取った者を確認する間もなく、後悔もできず、魂の抜けた体は地面に突っ伏した。


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