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The end of the DragonRaja,
【二次創作 その他小説】

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The end of the DragonRaja, Chapter 1[Life and death]-13

 アランは戸惑った。
 リーフの手を取り、駆け出したのは良いが、今度は手を離すきっかけに悩む。
 普通に手を離せば良いのだろうが、その後彼女にかける言葉が見つからない。
 しかし、その悩みは杞憂に終わることとなる。
 リーフの配慮によって。
 
「荷物…、ありがとね。」

 彼女は繋がれた右手を離し、顔を俯かせながらアランの右手前に移る。
 リーフは彼女の女性としての顔を彼に見せるのは、なんとなく癪だった。
 
「ん、ああ…。」

 彼自身が大きな行動に出てしまった動揺もあるが、彼女を泣かせてしまった挙句の行動である
 ために、どう言葉にして良いか彼にはわからなかった。
 彼女の差し出す左手に、荷物を渡す。
彼女の体がやや左に傾いた。

「アランたちは、ストリームブリンガーになってからは、
 局地戦の時間はお城で待機してるんだよね?」

「あ、あぁ。有事に際しては、連絡が取りやすく動きやすいからな。」

 軍事的な話であれば、アランも話すきっかけが見つかるだろうとの、リーフの配慮だった。
 アランは未だ動揺が払拭されていないが。

「でも夕ご飯は家で食べるんでしょ?」

「まぁな、闇が深くなってからじゃないと敵も侵入してこないし。それまではたいした命令もないし。」
 
 そっか、と彼女が小さく呟いてから、彼女の次の声を聞くまでに少しの間があった。

「…ねぇ、そういえばさっき途中までしか聞こえなかったんだけど、あの後なんて言ったの?」

「あの後?」

「マルトース卿の弟子だし、の後。」

「あー、なんだったかな…。」

「なによそれ〜。」
 
 彼女は先ほどの癪な気持ちをつい忘れ、俯いていた顔をアランの方へ上げてしまった。
 彼女の頬が柔らかく膨れているのが、月明かりに照らされて見える。
 そして先程泣いたせいか、瞳が眩く輝いている。
 それを見てしまったアランは、それ以上彼女の顔を見られなくなった。
 彼女の瞳は泣いたから眩いていたのではない。

「なぁ、どうせ後で外部行くんなら迎えに来てやろうか?」

 彼女の質問に答えられないことと、自分の火照った顔を見られまいとする、必死の逃げ口上だった。

「ん、大丈夫。マルトース様の弟子だし。」

 彼女は笑顔で明るく言った。
 今夜ばかりは一人でこの想いをかみしめていたいと思っていた彼女の本心だった。
 
 それから2,3たわいのない会話をした彼らはゆっくりと別れた。
 水溜りに移る月を飛び越えながら帰る途中、アランはリーフに聞かれたことを思い出していた。

(あの後か…。『俺がお前を守る』って言わなくて良かった。)

 別れ際にそれを言っていたら、本来アランが言おうとしていた意味とは若干異なってしまう。
 姉の待つ自宅が見えるころには、彼は既に落ち着きいつものアランだった。
 俺が仲間を守る、という意味で『それ』を雨の中立ち尽くすリーフに言おうとしたアランに。 


No.6 「theybehavedstrongly」

 アランの家とリーフの家は近所というわけではないが、そこまで離れていない。
 自宅の窓からいつもと変わらぬ光が差しているのを見て、アランは溜息をひとつついた。
 アランには今はまだ、リーフのことを深く考えている余裕はない。
 一週間後には雪原戦が控えているのだから。
 そう自分を戒めながら家のドアを開けると、ネリアが台所で夕食の準備をしていた。

「ただいま。」

「あ、お帰り、遅かったわね。遅刻して団長にでもしぼられた?」

「別に。遅刻はしたけどさ、さっきまでレクサスと少し話し込んでた。」

 ネリアの肩がくすくす笑っているのを見て、アランはそう言った。
 嘘ではない、決して。
 しかし決定的に帰宅が遅れた事実はもちろん言えるはずもない。

「レクサスかぁ〜、あの子あんな性格だから、ちゃんとあんた、リトを支えてやりなさいよ?
 リーフに対するあんたの援護は私がしてあげるから。」

 ネリアの戸棚から食器を取る横顔はひどく笑顔だった。
 それを見たアランの顔は青ざめた。
 彼女の発言が冗談なのか本心なのかはわからない。
 しかし、先程のことがあったばかりのアランは、動揺の色が隠せない。
 彼は間髪入れずに窮地を脱しようとする。
 
「装備外してくる。」

「手洗ってきなさいよ?」

「はいはいはい、わかってますよ!」

「ふ〜ん」

(しまった…。はめられたか?)

 アランの去り際に言った言葉は語気が強くなってしまった。
 それまでは平静を装う事に成功していたが、思わぬ言葉の刺客にしてやられた。
 熱くなってしまったことで、ネリアに彼の動揺を感づかれたかもしれない。
 もうこれ以上はぼろを出すまいと、彼はゆっくり自室のある2階へと通じる階段を登っていく。
 彼女の最後に放たれた言葉の意味するものが、彼にとって最悪な意味でないことを願いながら。


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