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若き亀やん、再び!(シリーズ3麻雀編)
【コメディ その他小説】

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有名人の息子-2

誰かが言うてたけど、大体ホンマに有名やったら、ワザワザ『有名な』とは言わん。その名を聞いただけで直ぐ解るもんや。さんまやタケシを紹介するのに『こちらが有名なさんまさんです』なんて言わんでも、『さんまさんです』だけで解る。これが『有名』てことや。ワザワザ枕言葉で『有名な』を入れなアカンちゅうことは、全然『有名』とちゃうっちゅうこっちゃ。

「社長!『坊やタツ』なんて聞いたことないでっせ!どっちか言うたら『坊や哲』よりこっちの方がバッタモンちゃいまっか!」

「し、失礼なことぬかすな―!あのチョ―有名な『坊やタツ』を知らんとは、キミは大阪で麻雀する資格ないぞ!」

「しゃーけど知らんモンは知らんし」

「オ、オレ聞いたこと有るで…」

オレのそんな思いとは裏腹に、これもシュン太郎やった松原がポツリと言った。

「まっつん、ホンマけ?その『坊やタツ』ちゅうバッタモンより、お前のオヤジの方が近所でチョ―有名な雀師やんけ。負けてキレる『キレ松』のことやったら、ここらの幼稚園児でも知っとるど」

キレ松は方々で迷惑をかけており、今では殆どの雀荘に出禁になっとるらしい。

「そのオヤジから聞いたんや。オヤジが一回だけ『坊やタツ』ちゅうヤツとお手合わせしたらしいわ」

「ホンマかいな?ホンでどうなってん?」

「コテコテにいわされ過ぎてキレる気力も無くなったそうや」

「ホ、ホンマけ?あの瞬間湯沸かし器をキレさせへん程なんて、メッチャ凄いやんけ」

岸和田も松原のオヤジの怖さを知るだけにビックリしとる。

「まあ、そういうこっちゃ、この西ちゃんのオヤジはホンマに凄い人やったんや」

オクレ社長は得意顔で言った。

「やっぱり『坊やタツ』ホンマモンかもしれん。オレそんな人と麻雀やんのんイヤやで」

「オレもそんなバケモンとやんのんイヤや」

ヘタレな岸和田の言葉に気弱な松原も続いた。こいつらはホンマに情けないやっちゃで。のままやったらオレが5万円払わなアカンがな。

「アホなこと言うな。もうする言うてしもてんど」

「そんなん言うたかてぇ。なあ、まっつん」

「ホンマホンマ」

「竹林くん、2人がやらへんねやったら、5万円は今すぐ払てもらわなアカンな」

「やりますやります。ちょっと待っといてください。おい、お前らチョットこっち来い」

オレはそう言って、2人を部屋の外へ連れて行った。



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