投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

王様じゃんけん
【幼馴染 官能小説】

王様じゃんけんの最初へ 王様じゃんけん 51 王様じゃんけん 53 王様じゃんけんの最後へ

女王様の命令は絶対です <後編>-5

その時ふたりが別れたからこそ、今の自分達があるのはわかっている。
それを否定するなんて本末転倒もいいところ、
まるで矛盾しているのはわかっているのだけれど、
ユイが自らの幸せから逃げた事に、どうにも憤りを感じてしまうのだ。

「それは…… その………… その時、私にも他に想い人がいたから…………」
「…………え?」

その言葉にまたしても私は絶句する。

「当時からユイは…… すでに同性愛者だったんです…………」
「そ、それはそうかもだけどっ」
「隆に異性として愛情は芽生えたけど………… その女性と秤にはかけられなかったんです…………」

痴情のもつれという言葉をよく耳にするけれど、
これもまたそのひとつだと言うのだろうか。

父親に襲われ男性不信に陥ったユイ。
いつしか同性愛に目覚めるも、隆と出会い異性の愛情を知り、
けれどその時にはすでに同性の想い人がいたわけで…………

「結果、隆に別れを告げひとりを選んだと…………?」
「はい…………」

ユイの決断に私がとやかく言える道理はない。
おそらく誰よりも悩み苦しんだ上の決断に違い無いのは容易に想像が出来るから。

「ただ、せめてもの救いは…… 隆にもずっと想い人がいた事ですかね?」
「そ、それはっ…………」

返答に困る私を見ながら、にっこりと微笑み頬擦り寄せるユイ。

「ずっと…… 姉様に申し訳無いと思っていました…………」
「うん? どうして?」
「だって………… 理由はどうあれ隆を蔑ろにした事に変わり無いから…………」
「そんな事無いわ? 隆だって………… わ、私を好きなクセにユイちゃんと付き合ったんだからっ」
「くす…… 確かにそうですね…………」

よもやモトカノとイマカノが、こうして自分の事を話題にしてるなど、
きっと隆は想像さえしていないだろう。
ましてやベッドの上で裸同然の恰好で…………

「つまり私にとって隆は特別であり最初で最後の男………… それを姉様に伝えておきたかったのです」
「でも…… 今はその………… いいの?」
「あは、その特別な人がやっと想い人と結ばれんとしてるのに………… これほど喜ばしい事は無いです♪」
「ユイ…………」

私は思わずユイをきつく抱きしめた。

隆はもちろん大好きだけれど、私はそれと似て非なる感情をユイにも抱いている。
ほんの少しタイミングが違えば、もしもユイと先に出会っていれば、
私もまたユイと同じように掛けられぬ秤に心痛めていたのかもしれない。


王様じゃんけんの最初へ 王様じゃんけん 51 王様じゃんけん 53 王様じゃんけんの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前