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Dr.COOL
【その他 官能小説】

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Dr.COOL-1

『痛ててっ・・・・』
下腹部に刺さる感覚が走る。
『どうしたんだお前?やけに顔色悪いぞ。』
心配げに、専務〈明人さん〉が声をかける。学生時代から出てきていた痛み。当時はそんなでも無かったが、社会人になってからは頻繁に痛みが走る。
《今回は特別痛いな・・・・何故だ・・・・?》
痛みは引かない。しまいには、変な汗まで出てきた。
『多分、大丈夫ですよ。きっと、社長や専務に対してのストレスが溜まったんですって。』
あまりにも心配されるので、腹を押さえながらも冗談混じりで切り返した。しかし、明人さんの顔色が変わった。
『下らない事言ってないで病院行く支度しろっ!』
日頃、温厚な明人さんの一喝。大声がオフィス中に響く。少しだけ、ビビった。
『わっ、分かりました。今すぐ支度します。』
大学の先輩で、会社の上司でもある明人さんの運転する車に乗って、俺〈宏樹〉は病院に向かった。車中で痛みはさらに増した。汗が大量に流れ、シートに落ちる。
『ヤバいな・・・・こりゃ、急がなきゃ。宏樹、スピード上げるからなっ!』
…ガクンッ!
さっきよりも速度を上げて走る車。明らかに法定速度を超えている。だが、おかげで程なくして近くの総合病院に着いた。
俺は急患扱いで、すぐさま診察室に搬送された。明人さんの声が騒がしく聞こえる。しかし、あまりの痛みで搬送中に俺の意識は途切れた・・・・

目が覚めたのは、病室のベッドの上だった。起き上がろうとしたら、下腹部に痛みが走った。
『っつぅっっ!まだ治ってないのか・・・・』
だが、その痛みの種類は今までとは違う感じだった。
…ガチャッ!
『あら、目が覚めたみたいですネ。ご気分はいかがですか?』
不意に扉が開き、声がした。病室の巡回目的で来たと思われる看護士の声だ。もう一度、体を起こそうとする俺。
『あっ、ダメですよっ!
手術が終わったばっかりなんですからねっ!』
『手術・・・・?俺、何したんですか?』
イマイチ、現状が把握出来ない。唯一理解したのは、下腹部の痛みは手術した為だ、って事だ。
『今、担当の医師を呼んで来ますね。術後の経過とか話して貰いますから。それと、私が村井さんを担当させて頂く斉藤です。宜しくお願いしますね。』
簡単な挨拶を済ませて、看護士が病室を出る。
《俺、手術したのかぁ・・・・》
体を動かすと、痛みが走る。とりあえずは、おとなしくする事にした。よくよく病室を見たら、一人部屋だった。何も無い殺風景な部屋。クリーム色の壁がイヤでも病院にいる事を強調する。
…コンコンッ、ガチャッ!
扉が開いた。そこには、さっきの看護士と白衣を着た女性が。
『意識が戻ったみたいですね。えっと・・・・』
『村井宏樹さんです。』
『あっ、ごめんなさい。村井さんですね。で、まだ術後、間もないですから縫合部分とかは後日検査しますが、痛みや違和感とかあります?』
クールな感じで淡々と質問してきた。
『はい・・・・とりあえず、今は痛くないです。』
『なら、問題ありませんね。場合によっては、縫合部分が炎症を起こしたりするんて、異常があった場合は至急、ナースコールをする様に。』
俺に話しながら、せっせとカルテみたいなのに記入している。
『ところで・・・・』
書き物の手を止め、俺を見る女医。いや、睨むって言った方が正しい眼差しだ。
『何であんなヒドくなるまで放っておいたんですかっ!?虫垂が破裂して、腹膜炎まで誘発するところだったんですよっ!!』
クールな口調が一変。厳しい言葉を浴びせられた。
『え・・・・虫垂・・・・って、何ですか?』
『盲腸の事ですよ。あまりにも化膿がヒドくて、付き添い人の許可を頂いて、緊急手術したんです。』
脇にいた看護士が説明してくれた。
『盲腸・・・・そうだったんですか・・・・』
大学四年の秋頃から続いていた痛み。今、原因がはっきりと分かった。
『付き添っていた方も、非常に取り乱してましたよ。我慢するのもイイですが、あまり心配かけたらいけませんよっ!!』
《えっ、明人さんが!?》
いつも、冷静でいる明人さんが取り乱したと聞いて驚いた。
《何か、迷惑かけてるんだなぁ・・・・》
そう思った途端、自然と言葉が出た。
『すんません・・・・』
『まぁ、経過も良好みたいですし、当分は安静にしていて下さい。』
口調がまた、クールな感じに戻った。


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