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お日様ジャッジ
【その他 官能小説】

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-1

 私が好きになる人は私を見ない。

 いつも遊びだと思われて、いつの間にか去って行く。

 どんなに努力しても恋だけは上手くいかない。

 だから、恋をするのはもう止めようと思っていた。



 初めて彼らを見たのは大学に入学した時だった。
 同じ新入生にイケメン双子が居るとなると周りは騒ぐものだ。

 ミーハーな私もそう。

 明るい性格の弟、陽太とそういう関係になるのも早かった。

 本気で好きだった……大好きだったのに……彼には届かなかった。

 いつか振り向いてくれるかも……気づいてくれるかも……小さな望みにしがみついて躰の関係を続けていた時、もう1人の彼……兄の夕也に気づいた。

 初めは気にもしてなかった。
 同じ部屋に住む彼らの所にお邪魔しても、夕也は黙って出ていくだけ。
 でも、何度か顔を合わす内に視線を感じるようになった。
 注がれる視線は切ないもの……それは私にじゃなくて陽太に。
 私が陽太に向ける視線と同じものを、夕也は陽太に注いでいた。

 ある日、陽太がシャワーを浴びてる時に、たまたま夕也が帰ってきた。

「いらっしゃい。直ぐに出ていくから気にしないで?」

 夕也は簡単に挨拶して寝室に消える。
 なんとなく後をつけて覗いてみると、脱ぎ散らかしていた陽太のジャケットを手に持っていた。

 そして、それに愛おしそうに唇を落としたのだ。

 その光景は気持ち悪いとか異常だとか思わせない、とても綺麗で神聖なものに見えた。

「ねぇ、夕ちゃんって陽ちゃんの事好きでしょ?」

 気がついたら声をかけていた。
 ギクリと体を強張らせた夕也は、ゆっくりと私に振り向く。
 出合った視線はいつもの切ないもの……気持ちが分かりすぎて胸が締め付けられる。

「……そうだね」

 そう答えた夕也は寂しそうに笑って、自分の着替えを持って部屋を出ていった。

 それから暫くして陽太からメールが来なくなった。
 捨てられた……直感的に分かった。
 それでも、微かな望みを込めて彼にいつも通りに接する。
 風邪で休んでいる友達にプリントを渡しに行くと言うと、彼は私の手からそれを奪い取った。
 その時の彼の挙動不審ぶりには呆気にとられたものだ。

 そうか、本気で好きな人が出来たのか。

 腹立ちよりも愛しさを感じる。
 振り向いてもらえない辛さを痛い程知っているだけに応援したくなり、ありもしないバイトを装って彼の背中を押した。

 もしかしたら引き止めてくれるかも……そう思いながら立ち去ったが、彼から声がかかる事は無く……私の恋は静かに終わったのだ。



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