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画面の中の恋人
【純愛 恋愛小説】

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画面の中の恋人-13

 たしかに、子供の付き合いでは無い以上、そうしたことは考えておかなくてはいけない。わかっているはずなのに、ダブル不倫なんて言われると、汚らしい感じがして少し気分が良くなかった。まだうまく考えられない、とだけ答えておいた。

『そっか、そうだよね。まあ、お互い大人なんだから、誰にも止める権利なんて無いとは思うけどさ。ほら、でも何かあったときに傷つくのは女の方だから、って思っちゃうんだ。ごめんね、余計なこと言って』

 ハルカ自身も少し前にこのサイトで知り合った男性と、リアルで会ったことがあると聞いている。ただ、画面上で接していたときのイメージと、実際に会った時のギャップが激しすぎて合わず、一度食事に行っただけで終わったらしい。慎重派のコウが、いつだったか『文字だけのやりとりだといくらでも取りつくろうことができるし、嘘ばっかり書いてる可能性もある』と言っていた。たしかにそれもそうだと思う。でも、名無男に限ってはそんなことはない……はず。

『あーあ、ミコったらすっかり恋愛モードに入っちゃってる。そうだよね、好きな人のこと、疑いたくないよね。たしかに、あのコメントみてると悪い人には見えない。わたしはミコがどの方向を選んでも、ちゃんと応援するつもり。またなにかあったら教えてよ』

 優しいハルカ。ちゃんと乃理子の気持ちを汲んでフォロー入れてくれる。そのまま恋愛って難しいよね、というような話をしばらく続けてチャットルームを閉じた。会話の最後の方で、ハルカが『彼と写メの交換すれば? きっと文字だけよりずっとリアル感あって楽しいと思う』と言うのを聞いて、乃理子は少し気持ちが弾んだ。

 深夜1時過ぎ、名無男からのメッセージはまだ届かない。どうしても写真の交換のことを相談したくなって、短文のメッセージを書いて送った。

『名無男さま 
 こんばんは。お仕事お疲れさま。いきなりですが、提案があります。
 名無男さんと顔写真の交換をしたいな、と思ったのですがどうでしょうか? 携帯で撮ったものでも、プリクラでも、なんでもいいのですが……。それを見ながら、メッセージを読むことができたら本当におしゃべりしているような気持ちになれるかなって。
 お返事お待ちしています。 ミコ』

 そのメッセージを送ってから数日過ぎても、名無男からの返信は届かなかった。

 乃理子は余計なことを書いてしまったのかと落胆し、家事をする気もなくなり、仕事でもミスを連発するほどショックを受けた。やっと返事が届いたのは、メッセージを送信してからちょうど1週間後のことだった。


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