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【サスペンス 推理小説】

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小説投稿サイト-2

「感想ですか……でもわたし、そういうの苦手っていうか……」

「いいのよ、『面白かった』だけでも。とりあえずコメントが入ると評価点に加算されて、翌日のランキングの上位が狙えるの。だから、ね? 書いて」

「はあ……」

 そんなに言うなら、とヨネコさんのパソコンからコメントを入れようとすると「ダメダメ!」と叱られた。何なのだ、いったい。

「え、この欄にコメント入力するんじゃないんですか?」

「ワタシのパソコンから書いてどうするのよ。ちゃんとモモちゃんのパソコンから書きなさいよ」

 わけがわからないまま我が家の古いパソコンから、その小説サイトを検索して登録させられた。なんでもいいから名前を決めろというので『名無子』と適当にもほどがある名前をつけて、ヨネコさんの作品にコメントを入れた。

 新たにコメントのついた作品の画面を、ヨネコさんは満足そうに眺め、またサイトの説明を始めた。

「ここはね、小説を投稿したりコメントしたりするだけじゃなくて、メッセージのやりとりもできるの。あと、みんなの創作について意見交換をするための掲示板みたいなのもあって、小説を通していろんなひとと交流を楽しめたりもするのよ」

「はあ……交流、ですか」

「そうなの。だからこのサイトを通してお友達もいっぱいできたのよ。ほら、この城ケ崎紫音さんも野薔薇千鳥さんも、みんなわたしのお友達」

「へえ……」

 綾小路可憐の『フレンド一覧』には読み方に苦しむような難読漢字がずらずらと並んでいた。みんなどうしてこんな複雑な名前を好んでつけたがるのだろう。まあ、本人たちが楽しいのならいいと思うが、画面の向こうにヨネコさんみたいなのが何人もいるのかと想像するとちょっとした吐き気がこみ上げてくる。

「お互いの作品を読みあって、感想を言い合って、それを励みにまた頑張って作品を書いて投稿するの。それにね、届くメッセージの中には『素敵な可憐さんとお会いしてみたい』なんていう男の人からのメッセージもあるのよぉ」

 ばんばんとわたしの背中を叩きながら照れまくる姿に殺意が湧く。何がどう素敵なのかわからないが、実物のヨネコさんを目の前にしても相手のひとは同じことを言えるのだろうか。適当に画面をスクロールさせて、並んだ作品群に目を通していると、ヨネコさんが急に正座してまた体をクネクネさせ始めた。


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