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『The girl & boy』
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『The girl & boy』-3

「嘘つきっ!!!」


思い切り叫んだ私の声は、果たしてどの程度、この男の耳に届いていたのだろうか。

どう、と遠くで熱風が吹き上がり、汗と油でべとべとの皮膚に、灰粉や砂塵がざらざらと降り注ぐ。

黄み赤からオレンジの三原色と、息苦しい程の煙臭さと、じりじり蒸されて行くような、痛みを伴った熱さ。

遠近を喪失した、連続的な爆音と熱風。


気付けば、私は彼の下にいた。

かばってやったつもりにでもなっているのだろうか、この男は。


冗談じゃない。


大量のコバルトガラスの破片の上に、弛緩した男の肢体。

爆発に巻き込まれ眼鏡が吹き飛んだ時にガラスが割れ、それが刺さったのだと思う、左目蓋に深い切り傷があって、だらだらと溢れ返る血で顔半分が赤い。

顔中ガラス片と血と泥だらけで、それは体中同じ事で、他にも負傷箇所はたくさんあったのだと思う。

たとえ両目が利かなくても、立ち上がれるなら立ち上がる、それが力無く、横たわったままだったのだから。


「心中だって、言ったじゃないかっ、心中だって聞いたから、だから私は君に着いてきたんだっ、なのに、この様は何だ、こんな事をするくらいなら、ちゃんと、君は、」


怒りと不安で混乱して、思考が混濁して、最後の方は自分でも良く分からない単語ばかりを繋ぎ合わせて、勢いのまま、とりあえず怒鳴っていた。


顔中がびくびくと引きつるくらい、みっともなく涙が溢れた、感情に任せて怒鳴っていなければ、それは嗚咽に変わっていた、黒煙と共にひたひたと忍び寄るこの暗い予感を、精一杯に拒み、全身で否定し、頑なに男の下にこもることしか出来ないでいた。


時々男の体が痙攣して、食い縛った歯の間から呻き声が上がった。

それが怖くて、男の肩口を力一杯に握り締め、顔を埋めて泣いていた。


私は、あまりに無力で、脆かった。


そして、こんな状況下でも、自分の無力さを呪うことしか出来ない。


そんな自分を、私は恥じなければいけなかった。



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