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カラスの巣〜序章〜
【熟女/人妻 官能小説】

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第1話 年増の女-3

ベンチに座る男の名は、宮下拓真と言い歳は20歳の三年生だった。
見た目は、大人し目の顔つきで、髪を目元くらいの長さでまとめたナチュラルヘアーが特徴の、ごく平凡な若者だった。
服装に関しても、白のロングスリーブにジーンズと、特に洒落ているわけでも無かった。
極めつけは中肉中背の体型で、人混みに紛れれば、目立たないリアルなエキストラだった。

「『何だ、お前かよ』は無いだろう?。忘れたのかよ、合コンの事・・・せっかくお前の為に持ち掛けてやったのによ」

そう言いながら、肩を叩いた男は拓真の隣に座った。
この肩を叩いた男の名は、遠藤直人と言い拓真と同学年の同い年だった。
見た目は、面長な顔つきで、キツネ目に黒ぶち眼鏡を掛けたインテリ風だった。
髪型や服装に関しても、アッシュカラーのミディアムロングに髪をはねらせ、白シャツとブラウンのカーディガンに、ベージュチノのクロップドパンツを履いており、全体的に崩した印象で洒落ていた。
さらに、高身長も合い重なって、拓真よりも魅力的だった。
ただ、一番特徴的なキツネ目が、どこか怪しげな雰囲気を醸し出しており、人によっては生理的に受け付けない者もいた。
拓真の場合は、その辺はアバウトなところもあり、初対面で話し掛けられた時から、すぐに打ち解けていた。

「ああ・・・大丈夫だよ。特に用も無いしな・・・・・・」

「何か気の乗らないような返事だな。まだ、あの女の事が忘れられないのか?。もう別れてから半年にもなるんだろ?」

拓真には、半年前に別れた8つ年上の女が居た。
バイト先で知り合あったパートの人妻だが、もちろん不倫だった。
きっかけは、バイト先の飲み会でメルアドを交換した事だった。
拓真に取っては、最初の交際相手でもあり、初めてを知った女でもあった。
交際期間も半年ほど続いたが、突如と女がバイト先を辞めると連絡が途絶えた。
不倫故に、深入りする事も出来ずに別れを余儀なくされた。

「まさか・・・あれは遊びのつもりだったから、本気にはしてないよ」

「ふふ・・・本当か?。だってお前さ・・・あれからサークルにもほとんど顔を出さなくなったし・・・飲みに誘っても断るだろ?」

「あれは、たまたま・・・たまたまなんだよう。まあ、正直話すと、ちょっと気が抜けた感じもしたけど・・・でも結局は、相手は人妻だからこうなる事は分かってたからさ・・・・・・」

「ふふ・・・それで、人妻は良かったか?。お前の口から詳しく聞いてなかったけど・・・・・・」

直人は、ニヤついた表情で拓真の肩に手を掛け耳元で尋ねた。

「よ・・よせよ・・・何でお前なんかに・・・・・・」

「いきなり不倫なんて大それた事をやるくせに、その辺はウブなんだな。まあ良い・・・お前も早く他の女を知れば、人妻の事なんて忘れられるからよ・・・今回の合コンは絶対にものにしろよな。中には、お持ち帰りOKな子もいるみたいだから、その辺も期待して良いからな・・・・・・」

直人の期待感を煽るような言葉とは裏腹に、拓真の表情は今一つ冴えなかった。
不倫相手の人妻とは、初めての女故に、どこか情が湧いて未練も残っていたのだ。
ベッドの嗜みまで教え込まれただけに、尚更だった。

「ところで場所はどこでやるんだ?」

拓真は、気乗りしない事を悟られないようにと、話を本題に移した。

「昨日、根岸から電話があったんだけど、〇〇町の駅裏にある居酒屋で・・・合コン相手の、女子大のすぐ近くなんだってよ」

根岸とは、同じ大学に通う男で、直人に合コンの話を持ちかけた本人でもあった。
拓真とは親しくは無かったが、直人に誘われて、この話にのっていたのだ。

「あっ・・・そう言えば・・・根岸からついでに面白い話を聞いたんだ。合コンとは全然関係ないんだが・・・・・・」

拓真は特に興味を示す事無く、相槌さえも打つ事は無かった。
それよりも、直人から早く解放されたかったのだ。
表向きは親しくはしていても、どこかこすっからい性格の直人を、鬱陶しくも思っていた。

「その話って言うのはさ・・・この大学に通う同じ学年の奴なんだけど・・・閉店後のスナックを尋ねたら、そこのママが一人きりで相手してくれたんだって。それで、どうなったと思う?」

「まあ・・・特に変わったオチで無ければ、何となく察しはつくけどな」

「まあな、お前の思ってる通りの展開なんだけど、ただ驚いたのは、そこのスナックのママの事なんだよ。当然、ママなんだから年増の女なんだけど、俺らみたいな年齢が相手するんだから、せいぜい見積もってもアラフォーくらいまでが限度だろ?。」

「最近は分からないぜ・・・熟女がもてはやされてるからな」

「ふふ・・・でもそいつはマニアでも無いんだ。だから・・・それでも一晩一緒に過ごしたんだから、よほど魅力的なママだったんだろうな・・・・・・」

「それで、肝心な歳はいくつなんだよ?」

いつの間にか拓真は、直人の話題に興味を示すようになっていた。
例え年増でも、年上の女としては変わりなく、不倫相手の人妻と重ね合わせて聞いていたのだ。

「はっきりとはしないんだが、50にもなったような女なんだ・・・・・・」


−つづく−


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