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たそがれ天使
【痴漢/痴女 官能小説】

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前編-4

「じゃ、行きましょうか?」

 そう言って、彼女の方から身体を寄せて腕を組んできた。予想外の展開に驚いて戸惑う
オレを、彼女がゆっくりと導き、二人は連れ立って再び歩き出した。互いの距離が一気に
縮まって、また、あの甘酸っぱい匂いが微かに香った。
 組んでいる方の腕を少し動かすだけで肘がスーツのジャケット越しに彼女の胸の膨らみ
に触れる。鼓動が一段と高まり、血が上って顔が赤くなっているだろうと思うと恥ずかし
かったが、オレは、この状況を徐々に楽しみ始めていた。
 道すがら、横目でちらちらと盗み見すると、オレよりも頭ひとつ分くらい低いところに
彼女の横顔があった。額の上の方からサイドに向かって流した前髪が歩く振動で微かに揺
れている。ふっくらとして柔らかそうな頬っぺたやグロスで艶やかに光った唇に、何度も
見蕩れてしまいそうになったが、堪えて視線を元に戻した。

 二人で腕を組んだまましばらく歩いて行くと、右手に少し開けた場所が見えた。高層ビ
ルの周りの敷地に樹木や草花を植え、いくつかベンチを置いた小さな公園のようなスペー
スで、ビルの正面玄関のすぐ脇には、地下へ通じる赤レンガ造りの階段がポッカリと口を
開けている。さらに近づいて行くと、手前の道沿いに幅広の装飾看板が立っていた。飲食
店の案内板らしかった。

「ここです」

 不意に言って、彼女は看板の前で立ち止まった。オレも合わせて立ち止まり、ライトに
照らされて明るく浮かび上がった飲食店の案内を眺めると、中華料理やイタリア料理のレ
ストラン、バーラウンジなど、ビルの地下には数軒の店が入っているようだった。

(そうか、夕飯を奢って欲しいってことか?)

 早合点したオレは、しかし、すぐに思い直した。レストランの案内には価格が書いてい
なかったからだ。つまり、予算がどれくらいあれば足りるのか全くわからない。メニュー
の写真から類推するとかなり高級な感じもする。カードは持っているからいざというとき
には使うしかないが、今度はラフな服装が気になった。

「早く、こっちよ」

 看板の前であれこれと考えを巡らせていたオレの腕を再び掴んで、彼女は地下へ降りる
階段の方に強く引っ張って行った。
 何を食べたいの? と尋ねても彼女は全くとり合わず、いいからこっちに来てください
と急かすばかりで一向に埒が明かない。オレは、彼女に引き摺られるままに身を任せるし
かなかった。
 コツコツと靴音を立てながら地下への階段を降りて中間の踊り場まで来たとき、彼女が
また立ち止まった。腕を掴まれたまま、彼女の前方に廻り込んで様子を窺ってみたが、薄
暗い照明の所為で表情がハッキリとは見えない。

(店に行きたいわけじゃないのか?)

 自分の置かれた状況がさっぱり掴めず、戸惑うばかりのオレが彼女を問い質そうとした
その瞬間だった。


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