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新・ある季節の物語
【SM 官能小説】

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(春編)-3

久しぶりに天気のいい日曜日だった。日曜日のかき入れ時だというのに、商店街のオジサンた
ちは、近くの公園で満開になった桜のお花見らしい。

でも、いつから私は占いオバサンなんて呼ばれるようになったのよ…失礼しちゃうわよね…あ
のハナタレ悪ガキたちに、おねえさんって呼びなさいなんて、先週も言ったのに、頭の悪いガ
キたちだわ。

「いやいや、リサコちゃんって、まだ若いよ…きれいだし、オレたちのアイドルみたいなもの
だぜ…」

花見で、お酒を飲み、顔を真っ赤にした商店街のオジサンたちに囲まれて、アイドルなんて
言われても嬉しくも何ともないし、ただ、ため息がでるだけだ。


「リサコちゃんって、いいからだしているよね…胸も大きいし、むっちりした太腿なんて、ほ
んとうに色っぽいよね…まさか、処女ってわけじゃないだろうけど、一度、裸なんて見たいね
…あそこの汁の出る具合も、おれの家の婆さんとは比べものにならないよな…」

酔った野菜屋のオジサンが、いつものニヤケタ顔で言うと、隣で缶ビールを手にした肉屋の
太ったオジサンが、すかさず口をはさむ。

「なに言っているんだよ…あんたのところの婆さんなんて、とうの昔にあがったりだろう、汁
なんてあそこから出るわけないじゃねえか…でも、処女のリサコちゃんもいいけど、たまには
男としないと、蜘蛛の巣があそこに張ってしまうよ…」

まったく、よけいなお世話だ。このオジサンたちときたら、私の顔を見ると、シモネタのエロ
話ばかりだ。もう、すっかり慣れてしまったけど、処女はやめてくれないかな…。


でも… 正直に言って処女はあたっていた。

なぜかセックスの機会がないまま、SMクラブでM嬢をやり始めたら、いつかしらMの快感が
癖になり、この歳になっても私はあいかわらず処女のままだった。それに、私がM嬢をしてい
るSMクラブは、セックスはご法度の店だったのだ。

…あたりまえでしょう…SMは、信頼関係が一番大切なの…だから、うちではセックスは厳禁
なの…それに、この店の会員さんは、みんな信用ある方だから、店のイメージもあるのよ…
なんて、SMクラブのママからよく言われた。

別にSっ気のある変態男を相手にセックスなんてしたいとは思わなかったが、私はM嬢として
は、いろいろな男を経験したのに、結局、いいのか悪いのか、処女のままズルズルとこの歳に
なってしまったのだ。


「リサコちゃん、いい人、紹介しようか…」なんて、近所のお婆さんたちが、いろいろ話をも
ってくるが、写真を見ただけで幻滅だ。見せられる写真は、すでに六十歳を過ぎたダサイ男ば
かりだ。

「いい男じゃないか…あたしが、昔、惚れていた年下の男だよ…夜這いにきて、抱かれたこと
もあったけど、あれも大きかったし、硬かったし、よかったね…リサコちゃんにはぴったりの
男だよ…」

婆さんたちのエロ話なんて、吐き気がするくらい気持ち悪い。いったい私を何歳だと思ってい
るのかしら…。




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