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『桃色の旅』〜変態映画館〜
【OL/お姉さん 官能小説】

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『桃色の旅』〜変態映画館〜-9

 場面が次々に移り変わっていく。高校を卒業し、大学に入り、アルバイトをし、そこで愛美と出会った。たいして遊ぼうとも思わずに、ただひたすら勉強とアルバイトに没頭しているうちに4年間が終わって今の会社に就職した。

 映像を見ながら、なんとつまらない時間を過ごしてしまったのかとため息が出た。男の人とつきあうことはいけないことだと思いこんできたせいで、母親が亡くなった今でも恋愛をすることができない。否定されることに慣れ過ぎて、頑張り続けることでしか自分を保つことができない、馬鹿な女。それが、わたし。

 愛美や他の友達が話す恋愛の話。本当はいつもうらやましくて仕方がなかった。愛美の彼だって、アルバイト先で出会ったとき、最初はわたしのことが好きだと告白してきたのだ。うまく答えられないでいるうちに、そんなことは知らない愛美が彼に告白して付き合い始めた。その後もたびたび彼から「やっぱり君のことが好きなんだ」と何度も電話をもらった。わたしだって、優しい彼のことは好きだったけど、でもどうしても勇気が出なかった。

 愛美の左手に光るあの指輪だって、本当はわたしのものだったかもしれないのに。


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