田中正樹-1
名前 田中 正樹
年齢 38歳
私立刻ヶ谷高校の体育教師。高校・大学時代にはラグビー部に所属。独身。過去に離婚歴１回あり。ギャンブルで背負った大きな借金と離婚時の慰謝料・養育費の支払い義務を背負い苦しい経済状況にある。
田中は自宅の安いアパートでケータイのモニターを眺め、ニヤニヤと笑いながらビールをグビグビと飲んでいた。映っているのは陵辱を受ける佳奈の姿だ。あの日のことを思い出すと笑いが止まらない。あの日、田中はあのまますぐに宮村佳奈をもう一度犯した。まずないはずだが、万が一にも親や他の教師、友人などに相談などされるとまずいことになる。だから２度目はケータイのカメラで佳奈を撮影しながら 犯してやったのだ。明らかに犯されていることがよく分かるように、顔を含めた全身が映るように撮影したのだが、我ながらよく撮れている。最後に顔と髪、制服にぶっかけてやった画像などネットにでも上げてやればマニアが大喜びするだろう。そうだ、あいつにも送っておいてやろう。佳奈にも撮影した画像を見せ、もし誰かに言ったりしたらこれをバラまいてやる、と脅してある。あの様子ならそんな必要もないだろうが、まあ念のためだ。
結局宮村佳奈と高橋幸一は付き合うことはなかったらしい。佳奈が露骨に高橋を避けるようになり、高橋もそんな佳奈と距離を置くようになった。女子たちは安堵しながらも、高橋君を振るなんて何様のつもりだ、などと陰口を叩くようになっていた。もちろ ん高橋以外の男子生徒のことも極度に恐れ、以前以上に近づかなくなってしまった。結局佳奈の孤独はいっそう深いものになったと言える。こんな悩みを打ち明けられる友人などもはや一人もいまい。
佳奈は学校で田中の姿を見かけると、怯えた表情を見せ、あわてて来た道を戻ったり、近くの階段を駆け上ったりするようになった。しかし田中にとってそれは不愉快なことでもなんでもなかった。それは佳奈に田中に抵抗する手段が何もなく、完全に佳奈を征服している証のように思えた。しかしさすがに体育の時間には逃げることはできず、ずっと膝を抱えて顔を伏せ、必死に小さくなっていた。一度わざと「宮村！ちゃんと聞いてるのか！」と声をかけてやったことがある。すると佳奈は哀れなほど に取り乱して、「ごめんなさい！ごめんなさい！ごめんなさい！」と泣きわめいてみせた。同級生たちはそんな佳奈を奇人でも見るような目で眺めていた。あれも佳奈の孤独を深める役に立ったかもしれない。授業のあと佳奈を一人残し、「今週も土曜日７時に体育倉庫だ」と囁いてやったときの佳奈の表情。真っ青になってガタガタと震え、ハァハァと呼吸も苦しそうにしていた。よっぽど田中が怖ろしいのだろう。田中には痛快だった。
今週はどうしてやろうか。あの絶望しきった表情もいいが、やっぱりもっと悲鳴や泣き声が聞きたい。鞭でも用意してやろうか。あの真っ白な背中や尻に鞭を散々に振るってやり、ズタズタにしてやるのはさぞ楽しいことだろう。悲鳴や泣き声もたっぷりとあげさせ ることができるに違いない。
残酷な妄想に一人悦に入っていた田中の携帯が鳴った。あいつだ。
「もしもし、私です。」
「ああ、オレだ。」
「首尾はどうでしたか？」
「ああ、うまくいった。まったく見事なほどあんたの言った通りだった。」
「ふふ。それはよかった。」
「今週も呼び出してある。次はどうしてやろうか今考えてたところだよ。」
「よかったですね。では楽しい週末を。」
それだけであっさりと電話は切れた。本当に何もかもあいつの言うとおりだった。田中はぼんやりとそのときのことを思い出していた。