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白い世界
【幼馴染 官能小説】

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ラストワールド-1

 
 結局夏休みが終わっても私の生活は変わらず、彼が私に近づいてくることはなかった。

 
 今思うと、あのわだかまりや切ない気持が恋というものだったのかもしれない。

 答えのない感情の名前。
 だけど誰かに話す気にはなれなかった。

 誰かに話したとしても答えが見つかるわけではないし、この気持ちが相手に伝わるわけでもない。
 私は答えが欲しいのではなく、この気持ちを誰かと共有したかった。
 その共有する相手は婚約者ではない。
 そう思った瞬間、婚約者の優しさに素直に甘える事が出来なかった。

 婚約者は私の気持ちが変わるまでいつまでも待つと言っていたが、結局この年になっても気持ちが変わることはなかった。
 その婚約者も3年前に同い年の女性と結婚したと風の噂で聞いた。


 
 「久しぶり。店がつぶれそうだって聞いたから落ち込んでるかと思ったけど、案外元気そうだな」

 向かいに座った彼はあの時よりもさらに大人になっていた。
 金髪の髪に青い瞳。それは絵本に出てくる王子様のよう。

 「お久しぶりです。都築さん。この度は福寿屋のためにお金を貸していただき、ありがとうございます」

 三本指をついて彼に深々と頭を下げる。

 「このご時世だ。長年続いているからといって店がつぶれないわけじゃない。それにお前にはガキの頃から色々と世話になっているし、力になりたかっただけだ」

 「それでも、色々とありがとうございました。都築さんが来てくれなければ店はあのまま倒産してしまうところでした」

 「困った時はお互いさまってね。でも....冗談でお前を担保にって言ったのに本当に来るとは思わなかった」

 彼は笑う。無邪気に笑う顔に少しだけ安心をおぼえる。
 
 彼に無理やり抱かれた記憶が強すぎて、もしかしたらまた彼に抱かれるのではないかと不安だった。
 
 「店のために貢献できるなら、この身がどうなろうと構いません」

 「相変わらず立派な心意気だな。その心意気に敬意を表して、お前を家に帰してやりたいがこっちも仕事なんでね。支払った分はきっちり返してもらわなきゃいけない」

 彼はそう言って立ち上がると、奥にあるふすまを静かに開けた。

 「−っ!」

 薄暗い部屋に敷かれた一組の布団。
 
 「全てを分かってくれとは言わない。だけど、お前をこのまま返せないこっちの事情も分かってくれ」
   
 「あ....うそ....そんなっ」 

 



  


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