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真夜中の淫謀
【レイプ 官能小説】

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飼育部屋にて-7

 エリナは「そうね」と頷いた。岡田はまだ戻ってこない。手を伸ばす。山本の頬から喉にかけてムカデの刺青に指を這わせる。山本がその手をつかむ。その手はひんやりと冷えていて、この男の体には血が流れていないのかもしれないと思う。人間の形をした爬虫類。その珍しい生き物に抱かれてみたいと思う。エリナの聞き分けのない下半身は、もうしっとりと濡れている。

煙草を床に落として踏み潰す。唇を重ねる。抱いてほしいとねだってみるのに、山本はそれを突っぱねる。

「俺は普通に女を抱くことができない。前に見ただろう……刃物で傷をつけて、血を流す女に欲情する。生死の狭間を彷徨う、あの女たちのぎりぎりの瞬間に興奮するんだ。あんたが俺に切り刻まれたいというなら、話は別だがな」

「そう……残念ね。わたし、あなたのことがもっと知りたいわ」

 山本の腕の中に潜り込む。黒いシャツに染み込んだ男の匂いが心地よい。山本はあきらめたようにエリナの髪を撫でながら、ひとりごとのように呟いた。

「俺のこと、か」

「話して。聞きたいわ」

「わがままな女だな……まあいい、退屈しのぎに話してやる」

 山本は淡々と話した。自分はこのあたり一帯の土地を持つ資産家の息子であること。生まれたときから体毛が一切生えてこない体質であったこと。だからといって、家族も兄弟も親戚も、それを特別なこととしては扱わなかった。だから学校に行くようになるまでは、少しもそのことで何か不便を感じるようなことは無かった。

「小学校に通うようになってから、初めて自分が異質な存在だということがわかった。子供は容赦なく異質なものを攻撃する。いつのまにか友達と呼べる奴はひとりもいなくなっていた。でも泣いたって悔やんだって、みんなと同じにはなれないだろ?俺は学校ではただ勉強だけをやり続けた」

「そう……こんなに綺麗なのに」

 山本のつるりとした肌を指でなぞる。自嘲気味の笑いがそれに応える。

「ふん、綺麗だなんて言われたことは一度も無い。せいぜい『気持ち悪い』とかな。中学も高校も成績は良かった。親父が薬品関係の工場を経営していた関係もあって、俺は薬学部のある大学を目指した。もちろん余裕で合格だ」

 友達と呼べる人間は相変わらずひとりもいなかった。大学でも山本はひたすら真面目に勉強と研究に取り組んだ。そんなとき、同じ大学に通うひとりの女の子が山本に近付いてきた。背の低い、小柄で愛嬌のある女の子。


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