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鶴女房
【二次創作 官能小説】

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鶴女房-4

あれから、すぐに床に就いた与平であったが、半刻(一時間)ほど経ってなお、未だ就寝してはいなかった。
普段なら疲労によって一瞬で意識が沈むというのに、今日に限って中々寝付けがよろしくない。
しかし、原因は分かりすぎる程に分かっていた。
あれから、彼女の別れ際のあの意味深な言動と表情が、頭にこびりついて離れず、与平の思考を支配している。

『決して部屋を覗いてはいけません』

おつるの放った言葉を、頭の中で反芻する。
「なぜ、覗いてはいけないのか?」「覗かれると困ることがあるのだろうか」
理由を考えれば考えるほど、与平の好奇心は膨らみ続ける。
膨らみ続けた好奇心は、やがて「倉庫部屋の戸を開けた先にある光景を見てみたい」という欲求を孕んだ。
しかし、それは彼女との約束を破ることとなり、如何わしくない結果をもたらすことぐらい、学の無い与平にも容易に想像はつく。
けれど、一度膨らんだ好奇心は中々萎むことはない。むしろ膨らみ続ける一方である。
好奇心のおもむくまま行動を起こすか、彼女の言いつけを守るか。どっち付かずの板挟みになった与平はますます眠れなくなった。

『のぞいていることが見つからなければ問題ない』

その時、彼の中の悪魔が耳元で囁いた。
彼はその悪魔の囁きに突き動かされるように無意識に床を離れ、夢遊病者のごとくふらふらと歩き出す。
ふと気がつけば、与平は彼女に何度も念を押された「決して覗いてはいけない戸」の前まで辿り着いていた。彼は好奇心に屈してしまったことを気に病んだが、それ以上に扉の向こうの景色が気になって仕方がなかったのだ。
彼は戸を開ける前に、心のなかで『見つかれば問題ない』と復唱した。
そして、倉庫部屋の戸板の出っ張りを掴み、木の擦れる音の出ないよう慎重にずらして、一寸の隙間を作った。
この隙間の向こうにあるのは、何の変哲の無い『おつるさんの手縫いの作業模様』であって、与平の膨張し続けた期待を裏切るにたりうる光景である。そう与平は確信していた。むしろ願っていた。
しかし、与平が目の当たりにしたものは、与平の期待を悪い方向で裏切るものであった。


蝋燭の仄かな橙色の明かりが、小物や道具の類が散乱する床にへたり込み、壁に寄っ掛かる彼女を仄かに照らす。
彼女の白魚の指は、針と糸で布を縫っているのではなく、彼女の股座へとそっと添えられていた。
はじめ、与平には彼女が何をしているのかさっぱり理解出来なかった。

「ふぅっ…ん…んぅ…っくぅ…」

右手が曝け出された秘所を上下に行き来するたびに、熱にうなされているように、くぐもった声を上げるおつる。
与平は彼女が倉庫部屋で一人、一体何をしているのか。
そして何の為に自分に部屋を覗かないよう念を押したのかを、熱で氷が徐々に溶けるように解せた。
単刀直入に言ってしまえば彼女は、自慰をしていたのである。

「っ!?」

与平は危うく声を出すところであった。
あの、貞淑で純潔の権化とも呼ぶべき彼女が。よりによって自分を謀り、あまつさえ人の家で秘密裏に自らを慰めていたなどと、にわかに信じがたかった。
与平は、五臓六腑を地面から生えた腕に握り締められ、引っ張られるような気分になる。重く深い衝撃を受けて立ち眩み、立っているのがやっとの状態。
『このまま戸を完全に閉めて、この場を立ち去る』
こんな簡単なことで、今夜の出来事を無かったことにすることが出来るのだ。与平はすぐさま実行しようと思い立ったが、結局彼には出来なかった。
何故ならば、戸を閉めようと手をかけた時、与平は再びその場景を瞳に捉えてしまったのだ。
家主を騙して、自慰に耽る美しい娘。
着物は大きくはだけ、まるでこちらに見せつけるかのように両足を大きく開口し、下半身が丸見えとなっている。
肉付きのいい白い太腿、そしてその付け根にある乙女の秘密の花園を指先が時に優しく時に激しく、緩急を付けて撫でる。
長いまつ毛が儚げな俯き顔には、与平の知る淑女の面影はなく、色香漂う女の顔があった。
与平はいつしか、そんな彼女の痴態に夢中になっていた。

「ぁああんっ……いけませんわ…与平さまっ…そんなところ…触っては……っ!」

突然自分の名を呼ばれ、与平またもや声が出そうになる。
しかし、与平の覗きが見つかったわけでは無かった。彼女は未だに自慰に耽っている最中であった。

(ま、まさか、おつるさんは、俺をおかずに・・・!?)

与平には皆目見当がつかなかった。
何故彼女が部屋を貸しきり、自慰をしているのか。そして、何故自分の名を呼ぶのかを…。
しかしながら、彼女が何を夢想し、自らを慰めていているのか想像に及んだ時、与平の心臓は大きく高鳴った。
疑問の追求など今の与平にとって、もはやどうでも良く、頭の隅に追いやられる。
理性を侵食し始めた肉欲の昂ぶりは、熱を帯びた己の分身のように、今にもはち切れんばかりに膨張し、とても抑え切れるものではなくなってきていた。

(おつるさん…! ごめん! 俺…!)

与平は熱り立つ、己の分身を荒々しく掴んだ。そして一心不乱に擦り続けた。


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