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あやなくもへだてけるかな夜をかさね
【その他 官能小説】

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あやなくもへだてけるかな夜をかさね-2

家事を済ませた智子に、ひととき訪れる自分の為の時間。
プッ…パソコンのモニターが薄明るく光を放つ。
画面にはアカウントが3つ。
夫と息子と、そして智子のアカウント。
自分の名前をクリック。
パスワードは設定されていない。
前に一度夫と息子のアカウントをクリックしてみた事があった。
息子はパスワードを設定していたが、夫は設定していなかった。
そのまま進めば知る事の出来た夫の世界。
しかし、智子はそうしなかった。
もしも夫が智子の世界を覗きたいと思ったら、パスワードの設定されていないそこは、簡単に覗く事が出来るだろう。
だが、夫はそうしない。
智子の中に確信とも言える自信があった。
何故なら…そう、自分と同じ。無関心。
メールをチェックする。
親友のミドリと交わす会話。
実家を離れて暮らす智子に、ミドリは時折懐かしい香りのするニュースを届けてくれる。
夫や子供や姑の愚痴と共に。
ミドリからのメールは届いていないようだ。
いくつかの広告メールやプロバイダからのメールを開く事無くゴミ箱に運ぶ。
outlookを離れ、IEへ。
お気に入りに登録された一カ所に繋ぐ。そこは、ふらふらとネットサーフしていた時に偶然見つけたサイト。
智子と同年代の主婦が管理してる。
“ルキアの秘密の部屋”
そう名付けられたそこは、よくあるアットホームなウェブサイトとは明らかに違っていた。
簡単に言うなら、主婦の浮気告白サイト。
少しでもネットに通じていれば、掃いて捨てる程に溢れる類のそのサイトに、初めて繋いだ時の驚きと衝撃を智子は今でも覚えている。
管理人の日記といくつかの掲示板だけのありふれたそのサイトは、智子の生活とはかけ離れた世界を広げていた。
日記に赤裸々に記された管理人の性生活。
掲示板に訪れた主婦たちの告白。
どれもが智子を捉えていた。
『夕べデートしましたぁ〜♪やっぱり彼以外の人じゃ感じな〜い、夫なんて絶対無理です!』
『夫の前では見せたことの無い淫らな自分に満足しています。』
掲示板に書き込まれた様々な主婦たちの告白。
どれもこれも、智子には真似の出来ない世界。
だがしかし、羨望が無いのか?と言えばそれは嘘になる。
『自分には踏み込めない』それがわかっているから、だからこそ引き込まれ目を離すことが出来ないのだった。

この時代、大して珍しくも無いだろう。
実際、智子に近い主婦の中にもそんな噂を身に纏った主婦は居た。
何度か噂話の中で聞いたこともあった。
だから…どうだと言うのだ?
智子には出来ない。それだけのこと。
夫に対する背徳?そんなことでは無い。
道徳?倫理?そんなことを意識して生活したことがあるだろうか?
“怖いから”ただそれだけ。
その世界にはまり込んで抜け出す事が出来なくなってしまうのが怖いから。
今、自分を取り囲む退屈だけど平凡で平和な世界を失ってしまう事が怖いから。
緊張感を無くしてしまった自分の体を、他の男性の目に晒す事が怖いから。
そう、機能だけを追い求めたあのつまらない色の下着を着けた自分を人目に晒す事は出来ない。
フと時計を見る。
…15:13…
もうすぐ娘が帰ってくる。
智子はログオフし、電源を落とすとパソコンの前を離れた。


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