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ツキのしずく
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ツキのしずく-1

 先輩、僕は、もう戻れないみたいです。
このメールを家族に見せた後でも構いません。
お手数ですが、樹海に僕の体の回収に向かって下さい。 

僕は何をしてもうまくいかなかった。頑張ってみたけど生きる事に嫌気がさしたんだ。
そして今日、僕は首吊り目的で樹海にやってきたのだった。
「ここが樹海かぁ」つぶやいてみた。夏ならば、くわがたが採れそうだ。
深い森の自然は、この世への未練をかき立てる。地球って美しい!!もう見れないこの世界・・・
「死にたくないなあ」思わず声が出た。だけど、この世界で生きるにはいろんな物が必要だった。
(きゅい〜ん)・・うぎぎ。腹の虫だ。ね?こんな感じ。腹が減ったとさ。
ポケットに、梅ガムを持っていたのを思い出した。ついでだから、空腹を埋めるとともに、
人生の酸っぱさを噛み締めてみようと思った。  ポケットを探ると、ぽっかりと穴があいていた。
「ついてない。」腹の虫には悪いけど、このまま逝く事にした。


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