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恋敵は"ちぃちゃん"
【片思い 恋愛小説】

恋敵は 恋敵は 恋敵は 恋敵は

恋敵は"ちぃちゃん"-5

「大丈夫だった?」
美沙から電話があった。
「うん....」
私は公園であった事を説明した。雅樹が"ちぃちゃん"をバカにされてキレた事は隠して....
「宮城君は千聖の事気にしてくれてたみたいね!」
「だといいんだけど....」
「えっ?違うの?」
「よくわかんない.....」
「いっそのこと宮城君の事なんか諦めて新しい恋を探したら?」
「そんなのムリだよ....」
「どうして?千聖は気づいていないみたいだけど、千聖はすごくモテてるんだよ!千聖がその気になったらすぐに出来るよ!」
「そう言ってくれるのは嬉しいんだけど....新しい恋は私にはムリだよ....」
「どうして?」
「だって....あいつが頑張ればなんとかなる人を好きになったのなら....あきらめられるかもしれない....あきらめなければならない....と思う....でも....あいつが好きなのはアイドルだよ!どんなに頑張ったって手の届かないアイドル....それなら私にもまだチャンスがあるって思っちゃうじゃない?だからあいつをあきらめるなんて出来ないよ....」
「千聖......」
「ゴメン....湿っぽくなっちゃったね.....」
「ううん....あっそうだ!千聖の恋敵....ランクインしたみたいだね!」
「うん!」
「千聖?何でそんなに嬉しそうなの?」
「何で?って....やっぱりあいつのがっかりした顔は見たくないから....」
「ハァ.....」
美沙はため息をついて
「千聖の思いに少しは気づいてくれてもいいのに....私が男に生まれてたら....絶対!千聖の事好きになっていたよ!」
「ゴメン.....」
「えっ?何で謝るの?」
「だって....そうなったら美沙にも辛い片思いをさせる事になるから....美沙と出逢った時には....私はもうあいつの事好きになっていたから....」
「もう....あのアイドル馬鹿に聞かせてやりたい言葉だよ....」
私は美沙の言葉に何も返せなかった。



美沙の電話を切った後、窓から部屋を抜け出して、雅樹の部屋の窓をノックした。
「私!入っていい?」
雅樹は私を部屋に入れてくれた。
「"ちぃちゃん"ランクインしたみたいだね!良かったね!」
笑顔で雅樹を見ると
「良かった....本当に良かった....」
雅樹は肩をふるわせていた。
「もしかして....泣いてるの?」
「悪いかよ!」
雅樹は私を見て
「ずっと苦労してきた"ちぃちゃん"がやっと報われたんだぞ!それを思うと....」
雅樹は本当に嬉しそうな顔をしていた。
「雅樹の言った通りになったね!」
「えっ?」
「新曲のMVを見た時言ったじゃないの!世代交代が必要だからといって、これまでずっと支えてきたメンバーや、そんな彼女達を推してきたファンを無視したような今回の選抜基準はおかしいって!」
「うん....でも....」
発表された順位には今回初めて選抜入りしたメンバーの多くが入っていなかった。
「本当はずっと不安だったんだ....メディアの露出も多くないし....派生ユニットにも入っていない....もしかしたら今年も....なんて....」
「それならどうして?発表される順位が増えたから....っていうわけでもないんでしょう?今年の順位は去年でもランクインしてたんだから....」
「発表される順位が増えたから"ちぃちゃん"自身やファンが頑張った....それはあると思う....でもそれは他のメンバーも同じ....これはあくまで想像だけど....今まで陽が当たらなくてもずっと劇場公演を支えてきたからじゃないかな....」
「えっ?」
「"ちぃちゃん"が所属しているチームは人気があるメンバーが多いチーム....そんな人気があるメンバーが輝いて強烈な光を放てば放つほど影は濃くなる....」
「でもそれじゃ目立たなくなるんじゃ....」


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