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恋敵は"ちぃちゃん"
【片思い 恋愛小説】

恋敵は 恋敵は 恋敵は 恋敵は

恋敵は"ちぃちゃん"-4

呼び出された公園に行くともう既に彼は来ていた。横に彼の友人らしき人が一人立っていた。私が近づいて行くと彼は手を上げた。
「ゴメンなさい!あなたの気持ちは受け入れられません!」
私ははっきりと断った。雅樹は少し離れた所で携帯をいじっていた。
「どうして?」
彼は意外そうな顔をした。
「好きな人がいるから....」
「あいつか?」
私が頷くと、彼は雅樹に殴りかかった。
「あっ!」
私が声を出す間もなく雅樹は殴り飛ばされた。
「こんな弱い奴じゃ君を守る事も出来ないじゃないか!」
彼は雅樹が落とした携帯を拾い上げ
「それに君以外の女の子を見ている奴なんか....」
「その子知ってる!売れてないアイドルだ!」
彼の友人が口を挟んだ。
「こいつがか?」
「ああ!今話題になってるアイドルグループの売れてないメンバーの一人だよ!」
「なんだ売れてないアイドルか!どうりで知らないはずだ!どうせ売れているメンバーに金魚のフンみたいにくっついていって仕事を貰っているんだろ!コバンザメみたいに!」
「コバンザメアイドルか!お前みたいな奴に推されても売れないよな!コバンザメじゃ!」
二人で大笑いしていた。雅樹はゆっくり立ち上がって
「今なんと言った!」
(ヤバい!雅樹がキレてる!)
「雅樹!やめて!」
私のその声は彼の言葉に阻まれて届かなかった。
「何度でも言って.....」
そこまで言った時
「"ちぃちゃん"の悪口を言うな!」
雅樹は彼の懐に飛び込んで、彼の顎に膝を突き上げた。その後彼の友人を横蹴りで吹き飛ばして、彼の頭めがけて回し蹴りを放った。しかし、雅樹の膝を顎に受けた彼は後ろに倒れかかたので、雅樹の回し蹴りは空を切った。すかさず雅樹は後ろ回し蹴りを放った。彼は後ろにあった木に寄りかかっていた。
「ダメ!!止めて!!」
私は思い切り叫んだ。雅樹の左脚は彼の頭を直撃寸前で止められた。
「もういいでしょ!帰ろう雅樹!」
私は雅樹の携帯を拾い上げて、雅樹の手引っ張って行った。

雅樹は自分に何かされても決して自分からは手を出さない。手を出すのは誰かを守る時だけ....その守りたいモノは以前は私だったが今は....噂話をしているのを偶然耳にしたのならキレたりしないが、今日は自分をバカにするためだったのでキレてしまった....
「"ちぃちゃん"がランクインしているといいね!」
思い切って話しかけた。
「絶対ランクインしているよ!」
雅樹は自信満々で答えた。いつもの雅樹なのでホッとして続けた。
「絶対に?」
「ああ....多分....してるんじゃないかな.....」
「段々自信がなくなったんじゃない?」
「千聖が茶化すからだろ!」
「えっ?」
私は思わず立ち止まった。「どうしたの?」
雅樹は振り返って私を見た。
「何でもない!」
私は嬉しさを隠して雅樹の横に走って行った。
"ちぃちゃん"を知ってから私の事を名前で呼んでくれなくなった雅樹が、久しぶりに名前で呼んでくれた事が嬉しかった。


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