投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

真夜中の淫謀
【レイプ 官能小説】

真夜中の淫謀の最初へ 真夜中の淫謀 11 真夜中の淫謀 13 真夜中の淫謀の最後へ

狂楽の部屋-1

 大学を卒業することも、社会人になることも、エリナの心にさざ波ひとつたてることはなかった。ひとつの場所で過ごした時間が終わり、また新たな場所での時間が始まる。別れが悲しいのならば、また新たな出会いを求めればいい。ただそれだけのこと。それなのに卒業式の日に泣いたり騒いだりする友人たちの姿は、エリナの目には奇妙な光景として映った。

 そのことをエリナとベッドを共にする男たちに話して聞かせると、彼らはこぞって「とっても君らしいと思う」と笑った。


 そして就職した年の5月初旬、エリナのもとに一通の手紙が舞い込んだ。

 
 慣れない仕事でいささか疲れを感じていたエリナは、その週末をめずらしくひとりで過ごした。まるで軍隊のような新人研修が連日続き、さすがに男を求める気持ちさえも減退していた。

 それでも体のリズムを崩す気にはならず、だるさの抜けない体を起して顔を洗い、窓を大きく開け放って全身に朝日を浴びた。そうするとどんなに疲れた朝でもすっきりと目が覚める。

 郵便受けを確認するとダイレクトメールに交じって封書が入っていた。

 封筒は飾り気のない無地、そこに下手くそな字でエリナの名前と住所が記されていた。差出人は斎藤一樹。高校時代にエリナの恋人だという噂が流れた相手だった。

「斎藤くん・・・?」

 高校を卒業してからの4年間、一度も連絡をとったおぼえが無い。封を開けると、これもまた白地にグレーの罫線だけが引かれたシンプルな便せんに、たった数行の文章が綴られていた。

 内容は、卒業してエリナの電話番号もメールアドレスも変わって連絡が取れなくなっていたけど、どうしても忘れられなくてもう一度会いたい、久しぶりに昔の年賀状を整理していたらエリナの住所を見つけたから手紙を送ってみた、というようなことだった。

 手紙の末尾には斎藤一樹の現住所と電話番号、メールアドレスが記されていた。

 寝室に戻りベッドの上で手紙を読みながら、エリナは記憶の糸をたぐってみようとした。彼はいったいどんな子だったのか。けれども、彼女のなかにはただの同級生のひとりという印象しか残されていなかった。

 彼女の興味を惹くことができなかった可哀そうな手紙は、ベッドサイドの小さなテーブルに放り投げられた。彼はどうしてわたしに会いたいと思うのだろう。わたしはちっとも会いたいと思っていないのに。

 エリナにとって同世代の男たちは、ただの子供でしかなかった。彼女が興味を惹かれるのは、長い年月を経て熟成された大人の男たちだけだった。


真夜中の淫謀の最初へ 真夜中の淫謀 11 真夜中の淫謀 13 真夜中の淫謀の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前