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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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王様の嫁取り大作戦-13

「雨は3日かもしれないけど……風は少し残りますね」

 南の大陸カイザス国の第3王子であり、風の精霊付きのデレクシスも断言。
 結局、期限まで1日しか無い事になる。

「くっそぉ……死ぬ気で来たのによぉ〜」

 テーブルに突っ伏して悶々とするドグザールに、その場に居た全員が同情の眼差しを送った。
 ちなみにその場に居るのはファン国王ラインハルト、その双子の弟ギルフォード、妻ステラ、宮廷魔導師ベルリア、その妻であり巫女長のミヤと上記の精霊付き2人。

「しかし、イズミ姫をねぇ……」

「勇気ある選択と言うか、無謀と言うか……」

「もう決めたんでぃ。ごちゃごちゃ言うないっ」

 ラインハルトとギルフォードの言葉にドグザールは憮然と答えるのであった。

 そんなこんなで悶々とした4日間が過ぎ、期限の日。
 風がまだ残るが何とか行けそうだという事で、デレクシスの精霊ザックで行く事になった。

「ザックでサイラまで半日。魔力もギリギリだからね」

 ザックは2人しか乗れないのでドグザール1人で行く。

「こちらからも船を出して追いかけるから、まあ頑張っておいで」

 ベルリアの言葉に頷いたドグザールはザックに乗った。

「ザック、頼むな」

『クェッ』

 ドグザールの声にザックは翼を広げて答える。
 相変わらず派手派手しい体色だが、その動きはしなやかでスムーズだ。
 デレクシスとの関係が上手くいっている証拠だろう。
 軽く地面を蹴ったザックは空に飛び立つ。
 その姿にそれぞれが激励の言葉をかけ、ドグザールは手を挙げてそれに応え、サイラに向けて一直線に飛んで行った。


 その頃、サイラの城ではイズミとその結婚予定の男が顔合わせをしていた。
 お相手はサイラでも1、2を争う上級貴族タチカワ家の長男デヴィッド=タチカワ、26歳。
 金髪碧眼、爽やかな笑顔、文武両道、才色兼備……正に結婚相手には申し分ない良縁と言えるだろう。

「ご機嫌麗しゅう、イズミ姫。私の事はデイヴとお呼び下さい」

 手を取ってキスを落としてくるデヴィッドに微笑むイズミの心中は……全く麗しくはなかった。

(……やっぱり……間に合わなかったわね)

 ゼビアからサイラまでどんなに急いでも1ヶ月以上かかる。
 ドグザールの事は嫌いじゃない……と言うか、好きだ。
 ファンで初めてまともに会話をしたが、王様でなく素で話した方の彼に好感が持てた。
 王族のくせに身分だの何だのに全くとらわれないし、戦いの中でも素早く的確な判断をしていた。
 彼と共に生きられたら、自分もありのままで居られるのに……そうは思ったがサイラを裏切る事は出来ない。
 ドグザールに間に合えば来い、と言ったのは自分の気持ちに踏ん切をつける為。


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