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ゼビア・ズ・サイドストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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王様の嫁取り大作戦-14

(だって……間に合うハズないもの……)

 イズミはにこやかに微笑みながら奥歯を噛み締める。

 その時

「イズミーーー!!!」

 外から聞こえた声に、一瞬幻聴ではないかと疑ったイズミだったが、デヴィッドが動いた時にハッと我に返った。

「何者だ!?」

 テラスに出て剣を抜いたデヴィッドの後を追って、慌ててイズミもテラスに出る。

 そこにはデレクシスの精霊、ザックに乗ったゼビア王ドグザールの姿。

「ゼビア王?!」

「本当ですか?」

 小さく呟いたイズミの言葉にデヴィッドが問いかけた。

「え?ええ……でも……まさか……」

 本当に来たというのか?しかし、どうやって……。

「っと居た!ザック、あっちだあっち!」

 テラスに呆然と佇むイズミを見つけたドグザールは、ザックの首を叩いてそっちに行くよう指示する。

「何事だ!?」

 騒ぎを聞きつけたサイラ王がドタドタと部屋に乱入し、テラスに居る2人に並んだ。

「サイラ王!!突然の訪問、平にご容赦を!」

 サイラ王に気づいたドグザールはザックの上で簡単な礼をする。

「……本当に来おった……」

 サイラ王もまさか本当に来るとは思っていなかった。

「期限ギリギリじゃろう?!約束通りイズミは貰い受ける!」

「考えるとは言ったが、やるとは言っとらん!」

 城のテラスと空中の目立つやり取りに、ザワザワと使用人や兵士が集まる。

「ゼビア王!私はタチカワ家の長男、デヴィッドと申します。これはどういう事か説明頂けますか?!」

 王同士のやり取りに割って入ったのはデヴィッド。

「初にお目にかかる、デヴィッド殿!すまんがお主の婚約者を奪いに来た!」

 テラスのすぐ近くまで来たドグザールは、ザックをそのままホバリングさせながら宣言した。

「はいそうですか、と素直に渡せると思っておいでか?」

「思っとらんが素直に渡してくれたら嬉しいの」

 イズミは睨み合う2人を交互に見た後、サイラ王に視線を移す。
 視線に気づいたサイラ王は大きく溜め息をついてイズミに苦笑した。

「……好きにしなさい」

「でも……」

 それではサイラに迷惑がかかるのではないか、とイズミは躊躇する。


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