接近……-7
僕は訳が分からず、咄嗟に質問してしまった。
「あの、どう言うつもりですか？」
彼女は僕の左手を重ねるように握りながら言う。
「新人エースくんが私相手に、どうにかなりそうなんでしょ、私、見てみたいの、貴方のどうにかなった姿を」
もう、どうにかなってますよ。僕は左手に感じる彼女のちょっと冷たい手の感触を心地いいと思いながら、じっと彼女を見詰めた。彼女も見詰め返す、僕は何も出来なかった。
体が固まっている、と言ってもいい、見詰める事しか出来ない、彼女はそんな僕に言う。
「もしかして私、ジュンくんのファーストキス奪っちゃった？」
はい、と言いそうになった。だが、素直に認めるのは男として嫌だった。