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侵略
【SF その他小説】

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〜侵略〜-2

 重々しい空気が、その場を支配していた。
 地下深くに作られたその会議室は、強固な防御壁と硬い自然の岩盤に守られた、堅牢な要塞であった。
 だが、そこに集まったもの達から、安心を窺うことはできない。どの顔も一様に疲労の色が濃く、落ちつか無げで不安な表情が目立つ。それは無言のうちに戦況を、ひいては彼らの運命を物語っていた。
 重要な議席に空席が目立つまま、参謀長官は戦略会議の開催を宣告する。
 「情報部長、概況から報告し給え」
 「はっ、参謀長官閣下殿、報告致します」
 緊張した面持ちの、まだ若い士官が敬礼して立ち上がる。
 「宇宙局が衛星軌道上に、未知の艦隊を確認してより21日。宣戦布告もないまま突如侵攻してきた敵軍に対し、惑星連合軍は勇猛果敢な働きで、これに抗しております。しかし科学力に優れた敵軍事力は強大で‥」
 「ええいっ、何を言っとるか貴様!現在の報告をせんか、現在の!」
 苛立たしげな大音声が、甲高い士官の声をかき消す。
 「も、申し訳ありません、将軍閣下殿!」
 「よいか、我等が劣勢なことなど、今更報告せずともわかっておるわ。多方面司令部との交信はどうなっておる、報告せい!」
 本来なら議事を取り仕切るはずの参謀長だが、敢えて将軍の言動を咎めはしなかった。確かにお粗末極まりない報告だが、それには仕方のない事情もあった。前回の交戦で情報部本部は敵の空爆を受け、人員、施設共に壊滅的な打撃を受けたのである。伝令で難を逃れたかの士官は、実質的には尉官にも満たない兵長に過ぎないのだ。
 「はっ!申し上げます。4日前の大侵攻より中央司令部とは音信途絶。現在も通信は復旧致しておりません。すでに壊滅が確認されている南方司令部、また7日前より音信途絶の北方司令部とも、依然連絡はとれません。西方司令部とは、2日前の入電を最後に音信途絶が続いております‥」
 「‥つまり、生き残ってるのは我々だけと言うことか」
 苦々しげな将軍の言葉に応える者はいない。沈黙は同意を示していた。
 「では科学研究班の成果を聞こう。まずは敵兵器分析調査班長、報告し給え」
 参謀長官の声はあくまで冷徹を通している。気まずい沈黙の中、憔悴しきった顔の科学者が席を立つ。
 「兵器分析班より報告致します。我々は陸軍が持ち帰った敵の機動兵器を分析した結果‥」
 ここでいったん科学者は言葉を切り、将軍の顔色を窺った。


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