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いじわるユリ・志保里の恋
【同性愛♀ 官能小説】

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全一章-7

恋人ができました。
小さなピアノコンクールでしたが、1位になった子です。
私は選外でしたけど、その子が優勝して良かったと喜びました。
とっても素敵な子で、
会場を出ても、その子の細い指がいつまでも目に焼き付いていました。

その子が私を追いかけてきた言ったのです。
「変だわ今日の審査。あなた、決して悪くなかったのに」って。
「いやいや。あなたのを聞くと、やっぱり才能が違うわよ」
私は正直にそう言いました。
悔しいなんて気持ちは少しもありませんでした。
お茶を一緒にしました。
コンクールの話も勿論しましたけれど、上の空でした。

「佐緒里って呼んでいい?」
「勿論よ。私もあなたを志保里って呼ぶわ」
佐緒里と志保里、ウソみたいですけどウソです。
この告白は仮名ですもの。
でも、名前が似ていたことは事実です。

佐緒里は私より1級下の高校2年生。頭一つ背が違います。
私の好きな、細く<嫋やか>で美しい子です。
なのに、指の長さが一緒なんです。
それだけでも、彼女の方がピアニストになれそうに思えます。
「佐緒里のショパン聞いてて、私、濡れちゃった」
「濡れちゃった?」
「ええ・・・心がね」
「はあ、心が・・・そんなに良かったかしら?」
「うん。嫋々として儚くて、死の床で蘇ってくる想い出のように切なくて、孤独の淵に立って、自分の涙の湖を眺めている・・・私、涙が出ちゃった。そんなあなたの表現が審査員を泣かしたのよ」
「志保里って、なかなかの批評家ね」
「大工はできなくたって、大工の建てた家は批判できるって言うでしょ?」
「はあ・・・なるほど」
「私、佐緒里のようには弾けないけど、かなり聞き込んでるのよ」
「誰が好き?」
「女性のピアニストじゃなきゃイヤだけど」
「ユリアンナ・アヴデーエワ? 今回のショパンコンクールで優勝した」
「あの人タイプじゃない。ヴァレンティーナ・イゴーシナ」
「知らないなあ」
「スリムで綺麗な人よ。この人の指見てると、濡れちゃう」
「指見て濡れるなんて・・・」
「だって、そうなんだもん。佐緒里の指の動きが彼女に似ていたの。だから余計感激したの」
「でも・・・濡れるなんて言い方、変じゃない?」
「変かなあ。涙に濡れる、心も濡れる、そして濡れる。佐緒里は、ピアニストの指見ててそんなことない?」
「最後の濡れるって、あそこが濡れるってこと?」
「ご名答」
「ヤダ、志保里ったら。それならそうと言ってくれれば、私あんなに迷わなかったのに。あ、私が鈍いんだ。一目惚れした志保里を追いかけてきたのは私なのに・・・」
「じゃあ佐緒里も?」
「実を言うとね、そう」
「どうりで佐緒里が脳裏から離れないと思ったわ」
「私、志保里のスクリャービン、力強いなあって、胸がキュンってなっちゃったの。先に聞いちゃったから、負けたって思いより恋したって想いの方が強かった」
「嬉しいなあ、佐緒里からそんなこと聞くと」
「つい直前までは<戦場のピアニスト>をイメージしてたのに、ガラッと<恋のイメージ>に変わっちゃった。最初の音から、さっきの人素敵な人だなあ・・・って始まっちゃったもんだから・・・仲良くしたいなあ・・・恋しちゃったなあ・・・もう逢えないのかなあ・・・私なんか、相手にしてくれないかなあ・・・ユリじゃないかも知れないしなあ・・・でもキスして欲しいなあ・・・抱かれてみたいなあ・・・切ないなあ・・・夢で見た憧れの人はあの人だ・・・そうだ、追いかけてみよう・・・でも・・・振られたらどうしよう・・・そんなことをメロディーに乗せて弾いていたのよ」
「佐緒里ってスゴイね。それだけ聞いても、あなたの才能は本物だわ」
「志保里は何か想いながら弾かないの?」
「何か想ってたらトチっちゃうよ」
「順番が志保里の後だったから、その切ない気持ちが素直に音に出たんだと思うの」
「私が佐緒里の後に弾いたら、私と佐緒里のどちらを1位にするか、審査員の奴ら迷ったかな。それはないね、私、選外だもんね」
「あり得るわよ。この程度のコンクールだったら、審査員もたかが知れてるもん」
「言うわねえ。私たち一卵性みたい」
「運命を感じるわね」
「佐緒里、指からませて・・・」
「ねえ、連弾でデュオ組まない?」
「私、佐緒里より大分レベル落ちるよ」
「そんなことないって。力強い志保里の低音部、恋する佐緒里の高音部・・・」

というわけで、恋人同士になったってわけ。
類は友を呼ぶ、って、良くいったものです。
私の初めての、正真正銘の恋人です。
佐緒里はとっても優雅です。
カラちゃんも一級の芸術品です。
そして、憧れていた通りのピアノタッチでタッチし合う仲になったのです。
練習の後ほどスゴク燃えるんです。
お互いちょっと匂うけど、好きになると何でも好きになります。
さんざんタッチし合った後、カラちゃん同士を合わせてイクのが最高です。


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