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いじわるユリ・志保里の恋
【同性愛♀ 官能小説】

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全一章-1

私、野球大嫌いなんです。
野球選手の顔、全部嫌い。
何て言うか、野卑に見えるんです。
実はこれ、私のトラウマが原因なんです。
ですから、贔屓のチームなどできるわけはなく、
したがってゲーム自体が面白くなるわけがありません。
9人×2でプレーしているのに、
3人でやっているようにしか見えませんし。
ピッチャーとキャッチャーと打者。
キャッチボール見てるようで退屈です。
高校野球なんて、脚光を浴びるのはエースだけ。

ピッチャー3人、キャッチャー3人、打者3人。
同時に投げて一挙に3アウトになるとか。
10球に1球、ゴルフボールが入っているとか。
何かの切っ掛けで、3塁側に走らなければルール違反になるとか。
1点取られる度に選手にドテラを着せていくとか。
何か面白いアトラクションでも考えれば?

それに引き替えサッカーは、11人。
総計22人の鬩ぎ合いが90分に亘って続きます。
本来使うべき手が使えないなんてイジワルも面白いし。
作戦なんかどうでもいいんです。分かりませんから。
女子サッカーもありますしね。
一躍日本中の注目も浴びましたし。
もっとも、私の下半身を震わせてくれる選手がいるわけではありませんけど。

なぜそんなに野球が嫌いなのか。
そのトラウマの原因は、
野球部のヤツからセクハラを受けたことなのです。
ソイツ、野卑なクセに女の子にチヤホヤされていました。
どうして女の子って、ヤンチャとかワルが好きなんでしょう。
私には分からない。

私は、自分で言うのもナンですが、綺麗な部類に入っていると言われます。
色白で細いせいか、楚々とした女性に見られます。
でも、内に秘めた性格は少々・・・かなり強情っぱりです。
だからでしょうか。
健康的というか、日焼けした野性的な人は、
男性であれ女性であれ、あまり好きになれません。

野球部の男子の間で、
誰がそんな私をおとすかなんて賭けていたそうなんです。
エースで、まあ、一番カッコイイと言われているヤツに、
ある日、体育館の道具部屋に引っ張り込まれたのです。
「やらせろ、やらせろ」

油クサイ学ランを脱いで、ズボンのチャックを降ろして、
私に向けて突き出したのです。
<キモチワルッ>
血管が浮き出た、ただのグロテスクな棒。
私を舐めるんじゃないっ。
襲いかかろうとしたので、彼に言ってやったんです。
「小さッ!」

彼の棒、ヘナヘナと萎んでいきました。
ヘナチンを蹴り上げて、
「短小、包茎、ダメで早漏!」と追い打ちの悪言を投げて逃げました。
耳学問は女の子の方が勝っています。
おそらく彼は、一生立ち直れないかも知れません。
その後ヤツは、
私を見るとコソコソと逃げるように避けていました。
<ちょっと言い過ぎたかな>とは思いましたが、
襲われそうになった私はどうなんです?
実は私、その後、吐いてしまったのです。
気持ち悪さが長い間続いてしまって、
食事も5回は食べられなくなってしまったほどです。
暫くは、男の先生、父も含めて(父はおりませんが)、
男という生き物が気持ち悪くなってしまったのです。
あんなグロテスクな棒を持っているなんて・・・

それ以来私は、
野球部が練習に入る前に、気合いを入れている時から耳を塞ぐようになりました。
高校野球の地区大会で、毎回緒戦で敗れているクセに、
「甲子園だ!」「オウ!」
「甲子園だ!」「オウ!」
「甲子園だ!」「オウ!」と、3回やるんです。
私には、
「ドウスルンだ!」「エエ?」
「コウサンだ!」「ハイ」
「コウサンだ!」「ハイ」としか聞こえませんでした。
<アホラシ>・・・そんな意地悪な見方をしていました。


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