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淫欲教団
【鬼畜 官能小説】

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第二回「楓、散る」-1

 「先生、ご準備を…」
 白装束の一人が二人の女を伴いつつ、スーツの男に言葉を掛けた。
 「うむっ」
 男が脂ぎった頭髪を右に傾げながら、ゆるりと立ち上がると、二人の白装束の女がまとわりつくように身を寄せた。
 男の前にひざまずいた三十歳前後と見える女は、男のベルトに手を掛け、手際よくズボンを下ろし、背後に立つ二十代半ばの女は、男の胸元に手を掛け、スッっとスーツを脱がせた。女たちは共に長くさらりとした黒髪を揺らしつつ、男を包む高価な服を脱がす。ふくよかな乳房を背中に寄せながら、汗ばんだランニングシャツを引き剥がす。足元に這いつくばる女は白く細い指で微かな異臭を放つ靴下に手を掛け、その瑞々しい唇が汚れたつま先を咥え上げ、スルスルと靴下を脱がし取る。
 男の衣服を手馴れた様子で始末した女二人は、男の足元に座り、姿勢を正した上で深々と頭を下げる。女たちの甲斐甲斐しい作業によって、男は褌一丁となった。
 「先生、こちらへ」
 白装束の男が、祭壇の方へ緩んだ体型の褌男を導く。太鼓腹を揺らしながら、男は中央に吊るされた白い肉体へ吸い寄せられるように歩み寄る…和蝋燭に囲まれた生け贄は怯えた視線を太鼓腹に送った。…その傍らには、旧式の特大ガスコンロが青白い炎を躍らせ、その上にドッシリと据えられた黒釜の中身を煮えたぎらせている。
 「まずは、お清めを…」
 先ほどまでインチキ臭い祝詞を唱えていた男が、褌男に榊の枝を手渡した。
 「うん…」
 右手に榊を握り、蝋燭の灯りに映るその瑞々しい葉に眼をやりつつ、その先の煮えた黒釜にその視線を移した。
 「イッちゃっていいか…?」
 男が傍らの白装束に問う。
 「どうぞ」脂ぎった視線と共に了解をする白装束…
 太鼓腹は一歩前に進み、吊るされた女の顔面に眼をやる…交わる男と牝の視線…
 「…ヒッ」吊るされた肉体は、ほとんど自身にしか聴こえないほどの微かな悲鳴を上げ、醜い視線の攻撃を受けた。
 蒸し暑い空気が男の汚れた体臭を増幅させ、生け贄の鼻腔を襲う…その艶めかしい異臭が“ツン”と牝の脳髄を刺激した。
 「よぉーし…覚悟せいよっ」
 男が微かな笑みを浮かべた後、榊を握る右手を怒りが満ちたように煮えたぎる黒釜に差し向け、その緑の葉に怒りをまとわせる。
 「えいっ!」男は熱湯をまとった榊を生け贄の白い肢体に向け、一気に振りぬいた。
 「アツっ!…ウグぅぅ…」
 牝の肢体は“ビンッ”と硬直し、男の与えた怒りを受けた。その姿を嬉々として眺める男ども…そして、御殿の片隅で怯え、視線を落としながら、その儀式の苦痛を想像し、身を震わせる白装束の女二人…
 「お前は随分と穢れているそうだから…タップリとお払いせんとな…」
 更なる拷問を宣告しつつ、煮えたぎる怒りを榊にまとわせる男…その怒りを受け、薄紅色に染め上げられた肢体を荒々しい呼吸と同期させ、リズミカルに揺らす生け贄…
 「ほれっ!」…「アッグゥ…うううう…」
 どす黒い太鼓腹と白く輝く生け贄は、煮えたぎる怒りと共に悦楽と被虐の舞を繰り広げる。
 「はぁ…お払いは、これぐらいでいいだろ?…」汗ばんだ上半身を揺らしながら、振り返り白装束に了解を求める太鼓腹。
 「ありがとうございます。…では、“生け贄責め”をお願い致します。」白装束は次の工程を勧める。
 「ハァ…ハァ…フグッ…」熱い前戯にいたぶられた牝の肢体は紅く染まり、すでにギブアップ寸前に脱力していた。


 “バリバリバリッ!!!”
 褌一丁の大泉が持参したカバンの中から取り出したモノ…角ばった四角い“凶器”が白装束たちの眼前で青白い火花を散らした。
 「どうだ…アメリカの軍用スタンガン…ホンモノだぞ。」
 「随分イカついのをお持ちですねぇ…こんなスゴいモノでも持ち込めるんですか?日本に…」
 「なぁに、スタンガンの規制なんて、ほとんど無いさ。まあ、用もないのに持ち歩ってれば、軽犯罪法かなんかでパクられるかもしれんが…そこは、ワシの場合、ほれ、バッチの威力でよ…」
 「なるほど…で、今夜はそれを婢女(はしため)の“責め具”に…」
 「マズいかな?これじゃ…」
 「いえ、結構ですよ。ウチの方は殺さなければ結構です。どうぞご随意に。」
 「うんッ。ここの婢女どもの魂はキツイ責め苦じゃなきゃ、浄化されないんだよな。ワシはこいつらの為にやってやってるんだ…政治家たる者、あらゆる弱者に慈愛の心をもたねばな…そうだろ?オマエら。」
 醜い褌男は、部屋の片隅に控える白装束の婢女たちに黒い凶器を差し向け、微かに指を押し下げた。
 “バリバリバリッ!!!”
 「ヒグッッッ!」
 二人の婢女は、その電撃と同期して、自らの肢体を震わせた。
 「さて、今夜の生け贄は…かえで…とか言ったか?」
 「はい、楓でございます。どうぞ、ご随意にお責め下さい。」
 「うむっ」
 太鼓腹を揺らし、ズカズカと祭壇の上に登った褌男は、眼前に大の字となった火照った白い肉体に攻め寄った。
 「かえで…覚悟せいよっ!」
 肩まで伸びた艶やかな黒髪をワシづかみにし、すでに脱力した頭部をグリングリンさせながら、女への“処刑宣告”を下す太鼓腹。
 「ハグッ…ウフゥゥグ…」
 もはや、言うことを聞かない肢体を微かにくねらせ、甘露な吐息を男に捧げる牝…
 「こいつ、もうダレてるのか?…おい、いつものアレをくれ!」
 脂ぎった男は、白装束に命令口調で催促をした。
 「はい。こちらにございます。」
 祭壇の傍らから、バスケットボール大の茶色い壷と外科手術用のゴム手袋が差し出される。


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