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<12月>
【OL/お姉さん 官能小説】

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クリスマスイブ-1

昨日はイルミネーションを見て、そのままお泊りして。朝もう一度抱き合ってしゅーちゃんが送ってきてくれた。

「夕方、メシ一緒に食べよ。オレ、作るからウチにおいで」

そう言ってくれて、私はケーキを焼いてしゅーちゃんちにお邪魔する約束をして別れる。わずかな時間しかないけれど、私は街まで買い物に出かけた。しゅーちゃんにクリスマスプレゼントが買いたかった。昨日ちょうどイルミネーション見に行った時にしゅーちゃんの小銭入れが壊れてしまったのだ。とは言っても男性にプレゼントなんてしたことない。一度しようと思ったことはあって、用意はしたのだけれども受け取ってもらえなかった苦い思い出があるくらいで。

クリスマスイブ当日の街はやはりどこもかしこも賑わっている。カップルもいれば、女子会準備っぽい女子集団もあり。家族連れあり。私のような単品もあり。つい数日前まではクリスマスの3連休なんてクソくらえと思っていたのにやっぱりこの雰囲気に浮ついた気分になってしまう。

一昨日はヒモパンに興奮していただいたけど、昨日はバスタオル一枚だったから、今日はどうしよう。ってご飯食べるだけでエッチはしないかもしれないけれど。一応脱がされてもいいように準備はしておくべきよね、とお気に入りの下着屋さんを覗いて赤いブラとショーツのセットを購入。セクシーな赤、というよりはクリスマスの赤、って感じ。しゅーちゃんはもし見てくれたらどんな反応を示してくれるかしら。

目的の紳士物の皮小物コーナー。普段は足を踏み入れないエリアで若干緊張しつつたどり着く。イケメンな店員さんにオススメを聞きながら候補を2つに絞り込んだとき、懐かし声が聞こえた気がして振り返る。

「チィ?やっぱりチィだ。久しぶりだね」

ネコを呼ぶかのように、私を呼ぶ声。振り返るとそこにいたのは苦い思い出を残した張本人がなんの悪気もなく立っていた。

「岸田さん…お久しぶりです」

「彼へのクリスマスプレゼント?」

私が手にしている小銭入れを見て、訊ねる。答える義務はないんだろうけれど、思わず頷いてしまった。

「よかった。ちゃんとクリスマスプレゼント、受け取ってくれる人なんだね」

某平日お昼の番組の観覧者並みに「そーですねー」と返してやりたかったけれど、ここは一つ大人にならなくちゃと否定も肯定もせず、笑顔でやり過ごすことにした。

「パパー、決まったぁ?」

岸田さんの後ろ、幼い女の子が走り寄ってくる。私に気づくと、眼が「オネーチャン、ダレ?」と無言で問いかけている。まさか「元愛人ですよー」とは打ち明けられまい。おまけに彼氏だと思っていたのは自分だけで、愛人だと気づいたのは3年前のクリスマスだった間抜けな女であることなど。

「あぁ、決まったよ。ママは?一人でウロウロしたら迷子になっちゃうだろ?」

目にいれても痛くない、というような表情で女の子の頭を撫でる。

「失礼します」

「あぁ、お幸せにな」

もう昔のことだ、と思ってもやっぱり見たくなかったなと思う。心配そうな、もしかしたら面白半分で見守っていてくれたイケメン店員さんのほうに向き直ると、

「やっぱりコッチにします」

と告げてお会計とラッピングをしてもらうためにその場から離れた。数分後、品物を受け取ると下がってしまったテンションをあげるべく、洋服を衝動買い。昨日は防寒対策をしっかりするようにと念を押されてパンツスタイルだったから、今日は思いっきりガーリーな雰囲気で。可愛い店員さんにおだてられてテンション回復。約束のケーキを焼くべく、家路を急ぐ頃には思い出しかけたイヤな記憶も頭の中から消えかけていた。

*****************

「お邪魔します」

「そんなにかしこまらないで入って、ほら」

いやいや、緊張しますって。男性の一人暮らしの部屋なんて入るの初めてなんですから。焼いてきたチーズケーキをしゅーちゃんに渡してブーツを脱ぐ。駅からの近さよりもキッチンの広さを重視して部屋を選んだって言ってたけど、確かにキッチンが広い。キレイに片付いていて、すでに食事のいい匂いが漂っている。

「ほら、こっち。もうすぐできるから座ってて」

「え?手伝います」

「いいから、いいから。今日はオレがおもてなししたいんだって」

そういうとリビングのソファに私を座らせて、オデコにひとつキスをくれる。小さいけれどクリスマスツリーまで用意してくれてあって、テーブルの上にはさまざまな料理が並べられていた。

「すごい。コレしゅーちゃんが全部?」

「あぁ。大したことしてないけどな」

いや、凄すぎますって。ここまでできるの、女子でもなかなかいないと思いますけど?

「じゃぁ、とりあえず乾杯ってことで」

シャンパングラスにシャンパンを注いでくれて乾杯。お料理もお酒もすごくおいしくて、すごく幸せな時間。お腹いっぱい、といいながらもチーズケーキもしっかり食べて。片付けは半分無理やり手伝わせてもらって、まったり。プレゼントを渡すととても喜んでくれた。

「早速使わせてもらう」

ってなんだかうれしい。そして思いがけなくしゅーちゃんからもプレゼントが。

「これだったら仕事中につけてても大丈夫かなって」

そう照れながら差し出してくれた小さな箱をあけると、シンプルなデザインだけど誕生石のピアスが輝いていた。

「うそ…すごいうれしい。ありがとう、しゅーちゃん」

思わず抱きついて、キス。そのまま押し倒される。

「指輪とか思ったんだけど、あんまりしてるイメージないし、サイズわからなかったから…ごめんな」

手をつかまれて左手の薬指にキスをされた。やだ…そんなことされたら期待しちゃうよ。



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