夜明けのシンデレラ(♂)-11
「…んっ、ぁ…と、智哉!ちょ、ちょっと待っ…」
「――イヤだ」
深夜零時。
日付が変わった部屋の中に、卑猥な水音が響き渡る。
カーテンを開け放した窓から差し込む、冴えた月の光にあてられて浮かび上がるのは、軋むベッドの上で重なり合う私たち二人の影。
…やっぱり、今日の智哉はどこかおかしかった。
夕食後、まずは一緒に入った浴室で、愛のファイティングゲーム開始のゴングが鳴ったわけなんだけど…。
いつもは、私が準備を整えて声をかけるまで部屋で待っていてくれるのに、今日は、そんなのお構いなしだった。
まだシャワーも浴びてないからって嫌がる私を押さえつけて、いきなり半勃ちのそれを加えさせ、完全に勃ち上がったと思った途端にそのまま貫かれて。
智哉の突然の変化に戸惑いながら、私は、石鹸と白濁液でぐちゃぐちゃになった身体で何回もイった。
――そして。
場所を部屋に移した後は、やっといつも通りの時間を過ごせると思った…のも束の間、智哉は、今度は窓に掛かっていたカーテンを全開にしてしまったのだ。
いくら五階の角部屋だとはいえ、斜め向かいには八階建てのマンションだって建ってる。
角度によっては、十分に部屋の中までのぞき込める位置関係だ。
そんな、いつ誰かに見られてもおかしくない状況の中で、ただひたすらに私を弄ぶかのような智哉の愛撫。
尖った胸の頂も、秘めた固い蕾も余すとこなく舐められ吸われ、私は、崩れ落ちる理性と押し寄せる快楽の狭間でおかしくなりそうだった。
「――ねえ、どうしたの?こ、こんなの…いつもの智哉じゃ、ない…っ」
「…こんな俺は、嫌い?」
ゾクリ、と。
全身が粟立った。
そこにいたのは、そのキレイな顔を私から溢れる淫靡な汁にまみれさせた、欲望に忠実な一匹の雄。
「と、もや…?」
初めて見る、こんな表情。
…強引にされることが嫌なんじゃない。
むしろ、今まで見たことのなかった智哉の表情に、胸がときめいて苦しいよ。
でも…。
「…桜子さん。俺から、離れていかないで――…!」
突然、フワリと身体が浮いた。
智哉に抱きかかえられ、為す術もなくベッドから引き離される。
「――えっ!?…ちょ、智哉!何する…っ」
そのまま、部屋の中を真っ直ぐに横切って。
たどり着いた先は、12月の寒空に輝く月がよく見える…窓際、だった。
「や、やだっ!こんなの、完全に外から見えちゃうじゃない…!」
慌てて、部屋の奥に駆け込もうとする私。
「――ダメ。逃がさない」
腕を掴まれ、一瞬、世界が反転して。
…気が付けば、私は、再び智哉の腕に絡め取られていた。