【ロケットパンチを君の胸に♪】〔第三部・最終編〕-11
「涼華…本当に涼華なのか?」
部屋に、戦闘要員『への二十番』を先頭に、クモ女…クマさん…そして、通路の壁に背もたれたチョコパフェ生徒会長の姿が見えた。
「涼華…」
への二十番が、覆面を外す…龍彦の顔が現れた。
「龍彦…さん…」
龍彦と涼華が、近づき抱き合い…唇を重ねる。
「ひゃあ♪」
女子高校生姿のクモ女が、思わず顔を赤らめた。柳川教授が頭を掻きながら鈴美に言った。
「…鈴美ちゃんも、生身の細胞部分をクローンすれば、人間にもどるコトもできるぜぇ…どうする?」
柳川教授の言葉に、少し考えてから鈴美は…ニッコリと、微笑んだ。
「あたし…このままでいいです…ミサイルが出たり…目から殺人レーザーの出る、この体…気に入っていますから」
と…。
そんな、やりとりを見ながら…クリオネ首領と、ペパーミント伯爵はそっと部屋を出た。
部屋を出ると壁に背もたれた、チョコパフェ生徒会長が首領に話しかけてきた。
「悪いけどもう少し世話になるよ…あたしのいた組織から、合体途中に攻撃するようなヤツは、しばらく帰ってくるな…だとさ」
《いいわよ…好きなだけいなさい…元・戦慄地球防衛軍所属の正義のヒロインさん》
「その話しはするなって…まだ、根に持っているのかい?そんな姿に変えられたコトを…」
《いいえ…だって、あの戦いは…》
クリオネ首領は、ペパーミント伯爵をチラッと見た。
《戦慄地球防衛軍【紅い幻魔団】とフェアリー☆テール…第二次戦の【魔法騎士・ペパーミント】との戦いだったんですものね…【機械獣使い・チョコパフェ・レディ】との戦いは第四次戦でしょう…》
「首領から、その話しをされると少し耳が痛いですね…今は、魔法力は完全に消滅しちゃいましたけれどね」
ペパーミント伯爵は、苦笑する。
《また、これから忙しくなるわよ…毎回、弟の五郎の暴走で、迷惑をかけてすまないわね》
と、クリオネ首領は二人に頭を下げた。
「気にしないでください…暗闇長官は、正義に固執するあまりに、暴走する人ですから…」
ペパーミント伯爵の言葉に、クリオネ首領は困ったような…ため息をもらした。
《五郎の暴走は地球を、正義の名目で破壊しかねないからね…その抑制が目的で、科学者だったあたしは【フェアリー☆テール】を組織したんだけど》
クリオネの姉は、迷惑な性格の弟を思い浮かべながら…通路の白い天井を見上げて。
《今度は、銀河中の正義の味方を集めて、宇宙から五郎はやって来るわよ…こちらも、準備を進めないとね》
と、言った。