それぞれの行き着く場所-12
抜き差しを繰り返す度に、あいりの膣壁がきゅうきゅうとリズミカルに三田村を締め付ける。
あいりを感じさせるつもりでいたのに、すっかり自分のほうが興奮してしまっていた。
無我夢中で、貪るようにクリトリスを吸い上げると、ジュプッジュプッと蜜が溢れて、シーツにいくつも卑猥な染みを作っていく。
「やぁぁああっ!ダメっ…三田村くん……も……もう……」
「……スゴイ……っ…絞まってきた……」
波打つようにうねる膣壁の動きが、絶頂が近づいていることを告げている。
「イってええよ……っ……もっとやらしいトコ……見して……っ」
「あっ!……あぁっ!やぁっ!イ……イくぅっ……イ…イくううっ!……三田村くぅん!!」
あいりは悲鳴をあげながら身体をビクビクッと痙攣させ、一度目のアクメに達した。
「……イって…くれたんやな……」
頬を紅潮させ、潤んだ瞳で三田村を見上げるあいりの表情に、どうしようもない愛しさが込み上げて、胸が熱くなった。
「い……挿れるで………?」
自分でも恥ずかしいくらい、声が上擦っている。
ひどく緊張しているのが自分でもわかった。
一刻も早くあいりと繋がりたい――――。
何故か今この瞬間を逃したら、もう二度とあいりと交われることがないような気がした。
スラックスとトランクスを素早くベッドの下に脱ぎ捨てる。
すぐにでも挿入しようと自らのモノを掴んだ時、三田村はハッと我にかえった。
ひどく興奮しているはずなのに、肝心のぺニスが、全く勃起していないのだ。
「……アカン……」
「……え……?」
三田村の異変に気づいてあいりが頭をあげた。
「………なんでや………」
焦れば焦るほど意志に反して下半身は萎えるばかりで、とても使い物になりそうにない。
酔いがすっかりさめてしまいそうなほどの気まずさと申し訳なさで、嫌な汗が吹き出すのがわかった。
過去にも一度、これと全く同じような状態になったことある。
それは、三田村がまだ学生の頃、一年以上の清い交際を経て、初めて慶子を抱こうとした時のことだった。
その時三田村はすでに童貞ではなかったのだが、慶子のほうは処女だった。
女神のように神聖な慶子を、自分が女にするのだという責任感と気負いのせいか、下半身が全く機能しなくなって焦ったことがあった。
その時と全く同じ症状―――。
それはつまり、「三田村にとってあいりが特別な存在である」ということを、三田村自身の肉体が証明しているようなものだった。
「……どうしたの……?」
不思議に思って身を起こしたあいりだったが、すぐに三田村の状態を悟ったようだった。
「……やっぱり……私とは……」
「……いや、ちゃうよ……そんなん思うくらいなら初めから来おへんやん……」
申し訳なさと恥ずかしさで、あいりの顔を見ることが出来ない。
「せやけど……神様が……やっぱアカンて……言うてはんのかな……ハハハ」
そんな冗談めかしい言葉で誤魔化そうとしたが、うまく笑えなかった。
「……神様に背いたら……地獄に堕ちるの……?
あいりが思い詰めたような声で呟く。
「え……?」
「私……恐くない……地獄なら……何べんも見たから……」
あいりはそう言うと、いきなり三田村の股間に顔を埋めてきた。
「あっ……あいりちゃん……」
一瞬にしてぺニスが心地よい熱に包まれる。
予想外のあいりの行動に、三田村は激しく動揺した。