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【ロケットパンチを君の胸に♪】
【コメディ その他小説】

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【ロケットパンチを君の胸に♪】〔第二部・陰謀編〕-4

「うっかり、場の雰囲気に呑まれて、合体してくれると思ったんだがなぁ」
「ですよね…あぁ、早くボクも涼華お姉ちゃんの、巨大ロボットに乗って大暴れしたいなぁ」
 となりに立つ…涼華の恋人、龍彦の弟で中学生の翔が残念そうに言った。
 彼も涼華と同じく、【ヨルムンガルド・β】とアットホーム秘密結社『フェアリー☆テール』のリス怪獣【ミルフィーユ】の戦いに巻き込まれたが。
 助けられた、戦慄地球防衛軍からロボットのパイロット素質を見い出された少年だ。

「一度、合体すれば、しめたものなんだがなぁ」
「涼華お姉ちゃんって、思っていたより、度胸なかったんですね…お姉ちゃん!現実から…逃げちゃダメだ!逃げちゃダメだ!」
 翔は、モニターに映し出される涼華に向かって、激を飛ばした。
「また、別の手をかんがえないと…今日は、もう合体してくれそうにないな…格納倉庫にもどしておくか」

 暗闇長官は、涼華を地下の格納倉庫に、カタパルトで固定するように指示を出して…モニターのスイッチを切った。
「どうだね、翔くん…一緒にラーメンでも食べに行かないか…そこで、これからの合体作戦を練ろう」
「はい、お供します」
 二人は施設内にあるラーメン店『緋色屋』〔ひいろや〕にやってきた。

「いらっしゃい♪暗闇長官…珍しいですね」
 のれんを手でどけて、店内に入ると、Tシャツ姿で頭にバンダナを巻いた、爽やかそうな青年店主が言った。

「今日は、我が【紅い幻魔団】期待のパイロットを連れてきたんだ…翔くん!」
「はじめまして、【ヴルキューレ・α】のパイロットの、翔です」

 パイロット・スーツ姿で、ペコンと頭を下げる翔に、青年店主はにこやかに微笑む。
「こちらこそ、よろしく…まだ、この時間帯はこまないから、ゆっくりしていっていいからね」
 暗闇長官と翔は、カウンター席に座った。
「ご注文は?」
 コップに入った水を差し出しながら、店主が注文を聞いた。
「そうだな…久しぶりに『血風!惨殺剣ファイナル・アタックみそラーメン』でも食べてみるか…翔くんは何にする?」
「ボクも同じモノを…あっ、ニンニク入りで」

「はいっ、血風!惨殺剣ファイナル・アタックみそラーメン!二丁!」
 注文を自己確認する店主の、威勢のいい声が店内に響く。
 翔は『緋色屋』の店内を見回した。壁には【○○戦隊】とか【○○マン】と、書かれた色紙が飾られている。

「ところで、極神〔ごくがみ〕くん…店の方の客の入りはどうだい?」
 暗闇長官が、厨房で麺を茹でている、青年店主に聞いた。

「おかげさまで、雑誌にも取り上げられて繁盛していますよ…一般市民の入店時間には、基地の通路に行列ができるほどです」
「それは良かった…翔くん、実は彼はラーメン屋の店主を装っているが、正義のヒーローなんだよ」
「へえっ…そうなんですか、ぜんぜん気がつきませんでした」
 翔が感心したように、言った。

「あっははは…最初は敵の目を欺く目的で、樹海の中で店を、出していたんだけれどね…」
 ズンドウの中に入ったスープを確認しながら、極神は答えた。
「たまに、ふらっとやって来る自殺志願者の注文でラーメンを出したら…美味かったらしくて…自殺を思い止まった志願者が、口コミで広めたんだよ…」

「敵に悟られまいと、必死にラーメン作りの腕を研いた賜物〔たまもの〕だな…我々も、そこまで評判になるならと、基地内に店を移転して…決まった時間だけ一般市民にも、入店を許すコトにしたんだ」
「はぁ…」

 翔は、一瞬…一般市民を、そんな気楽に基地内に、入れてもいいモノかと…ツッコミたい、気持ちを押さえた。
「おかげで、ラーメン屋の方が本業みたいになっちゃいましたけれどね」
 極神は、湯切りをした麺をスープの入った丼に移して、具を盛り付けた。
「はい、お待ちどうさま…熱いから気をつけてください」


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