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【ロケットパンチを君の胸に♪】
【コメディ その他小説】

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【ロケットパンチを君の胸に♪】〔第一部・受難編〕-6

 怪獣ミルフィーユを鈴美が、立ち直らせていた頃…姉の涼華の方では。涼華が暗闇長官に、抗議していた。

「どうして、合体と変形のコトを言わなかったんですか!!」
『言ったら、君は心良く承知してくれたかー!』
 メガホンで、叫ぶ暗闇長官を冷たい目で眺めながら…涼華は、一言。
「ぜーたい!イヤっ!」
 と、言い放った。
『だろうな…だから、秘密にしたんだ…君が傷つくと思って』
「ロボットにされた時点で、完全に傷ついています!」
 暗闇長官は、機嫌の直らない涼華ロボに、ため息をもらした。

『しかたない…君に会わせるのは、もう少し先にしようと…考えていたのだが』
 暗闇長官は、取り出した施設内連絡用の、携帯通信機を手に、なにやらゴソゴソ話していた。
『もうすぐ、君の良く知ってる人物がここに来る…その、人物を見れば君の考えも変わると思うが…』
「知っている人物?」
 涼華は誰だろうと、考える…まさか、両親でも連れてくるつもりじゃないだろうか…そんなコトを考えていると、カッカッと近づく足音が聞こえてきた。

「お呼びですか?暗闇長官」
 やってきたのは、体にピッタリとした戦闘用らしい、スーツを着た中学生くらいの男の子だった。
 その、やってきた男の子の顔を見た瞬間…涼華は驚きの声をあげた。
「し、翔くん…無事だったの!!」
 それは、一緒に斜面を転がり落ちた、龍彦の弟の翔だった。
 片方の目に、包帯が巻かれた痛々しい姿をしているが、翔に間違いない。
『涼華、お姉ちゃーん!久しぶりぃ!元気だったぁ!!』
 翔はメガホンで、涼華に向かって叫んだ。暗闇長官が翔の後に続いて、メガホンで叫ぶ。

『彼はぁ!パイロットの素質があったのでぇ、特別に採用したんだぁ!前々からロボットを、操縦してみたかったらしいんだぁ!ぜぃぜぃ…ごほっごほっ』
 うっかり、中学生の勢いにつられて…意味の無い、絶叫をしてしまった暗闇は…むせた。
『うんっ!ボク、ロボットに乗って悪い奴をボコッボコッにするのが小さい時からの夢だったんだ!まさか、涼華お姉ちゃんに乗るなんて、想像もしていなかったけど!』
 翔の言葉に、涼華は「げっ!」と、言葉を詰まらせた。

「翔くんが…あたしに乗る??どうゆう意味ですか!」
『聞いた通りの意味だ…最近は小学生や中学生が、ロボットの操縦者ってのもトレンドみたいだからな…』
 涼華の全身が、険悪感で、震える。

「ぜーたい!イヤァ!人間を体の中に入れて、操縦されるなんて!そんな気色の悪いコト…ぜーたいイヤ!!」
『寄生虫を一匹、体の中に飼ったと思えばいいだろう…』
「そんな、気色の悪い表現しないでください!」
 涼華は、泣きたくなったが…ロボットなので涙は出そうになかった。

 その頃…妹の鈴美は、与えられた部屋で、戦闘要員たちに挨拶していた。

「えーと、今日からみなさんの、配属上司になった…幹部候補の鈴美です…まだ悪の世界のコトは、何もわかりませんが…よろしくお願いします」
 鈴美が、頭を下げると戦闘要員・へ組の二十人は…片手を上げて。
「ヴィーッ」
と、奇妙な掛け声を発してから一斉に拍手をした。
「こちらこそ、よろしく…」
「わからないコトがあったら…聞いてください」
 なかなか、気の良さそうな人たちだった。
「いい人たちでしょう…さあ、行きましょう」
 クモ女が、言った。
「行くってドコへ?」
「任務ですよ…鈴美さんの初任務、へ組の戦闘要員…そうですね、女の子の戦闘要員を含めて、三人くらい連れていきますか」
 そう言って、クモ女は部屋の隅に置いてあったカゴを、手にした。


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