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続・聖夜
【その他 官能小説】

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続・聖夜(後編)-5

私はその彫刻を食い入るように見つめ続けた。そのとき私は、その彫刻の中に見え隠れする魔性
的な陶酔と眩惑に、噎せるような咽喉の渇きをおぼえた。

どこか性的な妖艶ささえ漂わせるような作者の表現が、あまりに背徳的であり、作者の抑圧され
た心の叫びにさえ思えてきたのだ。

L・ベルニーニ作の幻のピエタ像だと言うが、彼が生涯でピエタ像を残したという記録はない。
私は息苦しささえ感じながら、なにか深い酩酊に溺れるようにその彫刻を眺め続けていた。



そのときだった…。

不意に鐘楼の鐘が私の耳の中でもつれ合い、耳鳴りのように響いてきたのだ。

やがてその鐘の響きは、風にしなる樹木の枝が啜り泣くような音を孕ませながら、私のからだに
襲いかかる鞭のような響きへと変わっていった。


大理石の彫像は、その白さを冴え冴えと増し、肉感を増し、ゆっくりと溶け始める…。

清らかでありながら、肉惑的なその彫像は、薄い嘲笑を含んだようにいびつに形を変え、まるで
奇怪な生きものように、仄灯りのなかで刻々とねばりを増しながら蠢いているのだった。


やがて若い男性の裸体像は、ペニスへと変幻し、男性を抱いた女性の像は、巨大な女性の性器の
襞の窪みに変わり、まさにそのペニスを呑み込もうとし始めていた。

肉襞の裂け目が、えらを歪める軟体動物のように波うち、きらきらと光る液体を滲ませ始める。

青白く輝くペニスと化した男性の像は、少しずつ女性器の肉襞に吸いつかれ、捩られるように
窪みの奥へと導かれていく。滲み出る粘液を含んだ肉襞は、まるで女の甘美な喘ぎ声を含んだよ
うに恍惚とした表情を見せながら、すっぽりとペニスを含んでいった。


そのとき、私は自分の子宮の中が締めあげられるような息苦しさにおおわれ、音が途絶えた冷や
かな沈黙に陰部を犯されているような感覚に包まれたのだった。


絡み合う巨大な男と女の性器は、やがて黒々とした獣の臓腑のような肉色へ変色していく…。

それは、私のなかに渇いた苦痛と甘美な飢えをもたらし始めていた。私の陰部は、すでにひたひ
たと湿り気を帯び、濁った蜜液が子宮の奥へと逆流を始めていたのだった。

生ぬるい淫液が、記憶の底の襞を流れていき、子宮の窪みで澱み始め、虚ろな光の帯びを絡ませ
ていた。その淡い光は、蛇の透きとおった脇腹のような粘着質の光をもち、私の子宮を這い回っ
ていたのだ。

光はまるで男の舌のように私の子宮の中を舐めまわし、苦痛という快感を与えながらも粘膜を
少しずつ削りながら裂いていく。やがて裂かれた子宮は、脳髄のような精液の渦に呑み込まれ、
肉片となって飛び散っていく…。


私は、性交の妖しい蠢きを繰り返す彫像に、眩暈と吐き気をおぼえ、教会の外に逃れるように
飛び出した。そして、悶えながら地面に膝をつき、黄褐色の胃液を含んだ嘔吐を繰り返したあと、
もっていた精神安定剤を無我夢中で口にしたのだった。




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