女子高生涼子の水泳特訓-2
静まり返った更衣室で競泳パンツに着替えていると、不意にプールのほうから水をかくような音が聞こえてきた。
『誰かまだ残ってるのか?』
高木は不審に思いプールのほうを覗いてみた。
プールの端のほうで一人の少女がビート板を持ってバタ足をしている。
水泳部の部員ではなさそうだ。
バタ足の基本をわかってないらしく、水しぶきがプールサイドにまでたくさん飛び散っている。
「誰だ?」
近寄って行くと、少女が慌てて顔を上げた。
相当練習していたのか肩で息をしている。
ぱっちりとした大きな瞳。くっきりした眉が目の印象をより強くしている。
色白で目鼻立ちの整った美しい娘だが、高木には見覚えのない顔だった。
「誰だ?」
「すみません……2年C組の水島涼子です。すみません……勝手に……」
涼子はひどく緊張した様子ですみませんを連発した。体格の大きな高木に睨まれてすっかり萎縮してしまっている。
「プールを使う許可を頂こうと思って30分くらい前に高木先生を探したんですけど……見つからなくて……すみません……」
30分前といえば――体育用具室にいた時だ。
マットの上で身体をまさぐられながら高木の肉棒を欲して喘いでいた少女の姿が頭の中に蘇る。
今目の前にいる清純そうな娘でも欲情すればセックスしたいと思うことがあるのだろうか――。
ふとそんな思いが頭をよぎった。
おそらくは処女だろう。
高木はこれまで何人もの女子高生と関係を持ってきたが、その中にはこんなタイプは決していなかった。
まだ誰にも触れられたことのない未開発の肉体――。
きっと全身が性感帯のように敏感で、どんな僅かな刺激にも快感と羞恥で身をよじらせるのだろう。
そんなことを想像していると、プールから出ている涼子の白い胸元が急に艶めかしく感じられた。
水泳部で女子の水着姿は見慣れている高木だが、アスリート特有の筋肉質な身体に性的魅力を感じることはほとんどない。
しかし今、目の前で荒い息をはいている涼子の肉体にはなんともいえない色香が漂っていた。
化粧っけのない清純そうな顔つきに反する意外に肉感的な胸元に高木は一瞬我をわすれて釘付けになった。
スイムキャップをかぶっていないため、濡れた髪からぽたぽたと水滴が滴り落ち、スクール水着の胸の谷間へと流れこんでいる。
「私……泳げるようになりたいんです……」
不意に涼子が言った。
思い詰めた表情で高木を見上げている。
「将来教師になりたいんです。……でも、採用試験で水泳があると知って……。 進路を決めるまでに泳げるようになっておきたくて……」
『ははぁ。なるほど――』
高木は半ば呆れながら感心した。
確かに教員採用試験では25M完泳の実技が課される。
しかしまだ大学にさえ入っていない段階からそれを気に病んでいるとは心配性にもほどがある。
とはいえ実際17年間カナヅチだったこの娘にとってはそれは一刻も早くクリアしておきたいハードルなのかもしれない。
「水泳なんて自転車と一緒でコツをつかめばすぐ出来るようになるよ」
水泳部の顧問という立場上、この話を聞いてなんとなく放ってはおけない。
何よりこの美しい少女そのものに高木は興味を抱き初めていた。
高木は軽く手足をほぐすとプールにざぶんと入った。
二人きりで同じ水の中に入ったというだけで、急に親近感が湧いたような気がする。