「超合体浪速ロボ・ツウテンカイザーU〜オゲラ〜」-9
後日。
二度に渡るツウテンカイザーの火星防衛は、市民の絶大な支持を得ることになり、火星凶悪生物緊急対策本部は政府の公認を得ることとなった。
その為、観測基地には新しい人材が送り込まれ、ツウテンカイザーを主軸とする防衛基地としての改造が急ピッチで進められた。
また、新しい人材の中には、査察続行の命を受けたスチュワルダの姿もあった。勿論、十文字博士が鼻の下を伸ばしまくって歓迎したことは言うまでもない。
「と、言うわけで、我々が暴走して危機的状況に陥らない為に、その抑止力としてナイスバディーな金髪びゅーちふるあんどぷりちーなきゅうちーぎゃる、マリア・スチュワルダちゃんがこの研究所に常駐することとなった。それと、新しいパイロットとして紹介しておきたい人物がいる…」
研究所職員を一堂に集め、新人達を紹介していく十文字博士。その最後に現れたパイロットスーツの男に、ひよこと恭子は驚愕した。
「お、王鷹の兄ちゃん!?」
「王鷹さん、生きていたんですかぁっ!?」
驚きの声を上げるひよこと恭子を遮り、十文字博士は神妙に咳払いをして、そのパイロットスーツの男を一歩前に促した。
「おほん、彼は殉職した王鷹君の弟だ…」
どう見ても王鷹と瓜二つの男に、ひよこと恭子は声を揃えて驚きの声を上げる。
「お、おとうとぉおっ!?」
一昔前のロボットアニメのような展開に、呆れ返って言葉の出ないひよこと恭子。
「そうだ、王鷹小次郎君だ。小次郎君もお兄さんの小太郎君と同様か、それ以上の腕の良いパイロットで、前回の火星人襲来時に於ける数少ない生き残りでもある。小次郎君、さあ、一言挨拶したまえ」
十文字博士に促され、王鷹小次郎はひよこ達を睨み付けて次のように言葉を発した。
「俺はまだ、お前達をツウテンカイザーの正式なパイロットと認めた訳じゃないからな…」
了。