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「超合体浪花ロボ・ツウテンカイザー」
【コメディ その他小説】

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「超合体浪速ロボ・ツウテンカイザーV〜新世界征服ロボの挑戦〜」-1

 漆黒の宇宙。その宇宙の暗闇で一際鮮やかな赤い色彩を持つ火星。今、その火星の向こうから眩いばかりの白い陽光が溢れ、火星の周囲に光の輪が形成された。宇宙から見た火星の日の出である。
 6:00…と、画面の左上に白く文字が現れ、時刻を告げる電子音が小さい音を立てると、ディスプレイを見ていたオマリーが両手を挙げて大きな欠伸をした。
 此処は火星凶悪生物緊急対策本部MACの司令室である。ツウテンカイザーがオゲラを撃退して以来、火星人は特に攻撃を仕掛けては来ず、昼間以外は惑星監視の為のオペレーターが数名、交代で火星とその周辺宙域を監視していた。しかし、平和呆けとでも言うのだろうか、ろくな事件も起こらないせいで監視の為のオペレーターも退屈な任務に大きな欠伸を漏らす始末であった。オマリーの欠伸につられてその隣でディスプレイを監視していた同僚のカークランド、ラインバックもまた大きな欠伸を漏らし、指で涙をすくいながらモニターと睨めっこをしている。
「ん〜〜っ、もう六時か…。そろそろ交代で飯でも食うか」
 カークランドが提案すると、オマリーが片手を振って先に行けと合図を送る。
「ああ、お前等、先に行って来いよ…。俺はあんまり腹が減ってないから後でいいよ」
「ん、そうか?なら、テイクアウトしてくるから此処で食おうや。一人でこれだけのモニター見ているのは大変だろうから」
 カークランドがそう提案すると、奥の席にいたラインバックも頷く。しかし、苦笑いを見せるオマリー。
「はは、最近、火星人も攻めてこないし、一人でも十分だと思うがな…。まあ、せっかくだから何か持ってきてもらうか。ええっと、俺は中華で…」
 オマリーが背もたれに寄り掛かり、夕食のメニューを考え始めたその時、奥の席に座っていたラインバックが急に怪訝な顔をして慌てた声を出した。
「何だこりゃ?隕石でも衝突したのかな……?」
「どうしたんだ?」
「いや、フォボスの表面で爆発が起こってな、それで、何か大きな物が火星目掛けて……、おい、こりゃあ隕石なんかじゃないぞっ!?…こいつは、……こいつは巨大ロボットだっ!!」
 突然、けたたましく警報が鳴り響き、平和だった火星凶悪生物緊急対策本部は急に慌ただしくなり、職員達は急いで持ち場に戻ると事態の確認を急いだ。
 司令室に最初に飛び込んできたのは査察官のスチュワルダだった。余程慌てていたのだろう、額はじっとりと汗ばみ、シャツのボタンかけもぞんざいで、窮屈な胸元はこぼれ出そうな位に胸の谷間が露出している。
「一体何事なのっ!?」
 手近にいたオマリーの胸ぐらを掴み、詰問するスチュワルダ。しかし、オマリーの視線はスチュワルダの豊かな胸元に集中して返事ができない。
「は、はい…あ、あのう……衛星フォボスが…その、大きな胸…いえ、その爆乳…じゃなくて爆発…」
「何を言っているのっ!?緊急事態の概要を述べよと言っているのよっ!!」
 要領を得ないオマリーの返答に、スチュワルダは半ばヒステリックに叫ぶと、オマリーの肩を掴んでがくがくと揺すった。その度に豊かな胸がぶるぶると踊り、オマリーをますます返事どころではなくしてしまう。
「ボ、ボインちゃんが、その…」
「ええい、たわけぇえっ!!」
 次の瞬間、業を煮やしたスチュワルダがオマリーの頬に拳を叩きつけた。
 鼻血を吹き出しながら、何故か至福の表情を浮かべるオマリー。同僚のラインバックとカークランドも、少し羨ましそうな視線を向けるが、狂った猛牛のようなスチュワルダと視線が交錯し、思わず目を逸らして身をすくめる。
「フォボスを飛び出して火星本星に向かっているのは国籍不明のツウテンカイザー級の巨大ロボットで、各回線を開いて呼びかけていますが何の応答もありません」
 カークランドは訊かれる前にそう答えると、小さく咳払いをしてモニターに視線を移す。
 そこへ、ようやく十文字博士とパイロットスーツに身を固めた王鷹が司令室に姿を現した。王鷹は足下に転がるオマリーが、鼻血を垂らしながら弛みきった顔で悶絶しているのに気が付き、ぎょっと驚いた顔を見せるが、すぐさま我を取り戻して見なかったことにする。そして、ディスプレイに映し出されている不鮮明な人影に眉をひそめると、涼しい顔で座っているカークランドに訊ねた。
「天体カメラの映像に修正を加えて、何とか画像を見られるようにできないのか?」
 王鷹はそう言うとにやけた顔で悶絶しているオマリーを跨ぎ、自分でコンソールパネルを打鍵し始めた。すると、メインモニターに衛星を飛び出した人影のようなものが映し出され、何度か修正を加えられていくうちに謎の物体は次第にその姿を明確にしていった。
 耐熱マントを身に纏い、火星に落下する巨大ロボット。その姿を見た瞬間、十文字博士の顔が青ざめ、信じられないといった様子で喘ぐように喉からから言葉が絞り出された。


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