本当の優しさ-2
「ファンクラブねぇ...なんか全然実感がないんだけど....」
私が呟くと
「もしかして....」
和哉が呟いた。
「どうした?和哉!」
和哉は直輝君のほうを見て
「最近...殺気のようなものを感じるんだけど...気のせいじゃなかったんだ...」
「間違いないな!我が校のアイドルを彼女に持ったんだ!仕方ないな!」
「何だよその言い方は!」
「言ったろ!俺は北原ちゃんのファンだって!」
「いいのかそんな事言って!理彩が怒るぞ!」
「大丈夫よ!私も美咲のファンだから!」
直輝君は和哉の肩を抱いて
「そういう訳だ!」
「直輝教えてくれ!俺はどうすればいいんだ?」
「今まで通りでいいんだよ!俺は北原ちゃんの笑顔を見る事が出来ればそれでいいんだから!なぁ理彩?」
「うん」
直輝君の言葉に理彩が頷いた。
「ただ....」
「ただ...なんだよ直輝!」
「北原ちゃんを泣かせる事があったら...俺達が赦さないからな!」
「美咲を泣かせる事があれば...わかっているでしょうね!その時は覚悟しなさいよ!」
「大丈夫よね!和哉!」
私が心配そうに言うと
「あたりまえだろ!俺が美咲を泣かせたりする訳ないだろう!」
「信じているよ!和哉!」
「ああ!」
私が和哉と見つめ合っていると
「アツいなぁ!理彩!12月だというのになんでこんなにアツいんだろうね!」
「そうね!でも...なんかここだけアツくない?」
「理彩!直輝君!」
私が睨むと
「ゴメンね!美咲!」
私は逃げるように走り始めた理彩を追いかけて行った。
それは期末試験が終わった日の事だった...
クリスマス色に染まった街は週末ともなるとプレゼントを買い求める人で溢れていた。
「これなんか和哉に似合いそうじゃない?」
私はプレゼントを一緒に買いにきた理彩に聞いてみた。理彩から何の反応もなかったので横を見ると、理彩はセーターとにらめっこをしていた。
「理彩?」
「えっ!あっ!ゴメン...」
理彩はバツの悪そうな顔をした。
「どうしたの?」
「私...似合うとか似合わないっていうのよくわからなくって....」
私も詳しくなかった。和哉と話すようになるまでは、自分には似合わない....ブスがお洒落な服を着てどうするんだ....服が可哀想だろう....なんて思われそうでお洒落には無関心だった。しかし今では和哉に少しでも可愛く見られたいので姉に教わっている。
「本当は私もよくわからなくって...」
「ウソ....こんなにお洒落なのに?」
理彩は私を上から下まで見ながら驚いたようなな顔をした。
「実は....お姉ちゃんに教えてもらってるの...」
私恥ずかしくて下を見ていた。
「そうなんだ....でも美咲はいいなぁ....お姉ちゃんがいて....私は一人っ子だから....」
「そうかなぁ?」
今まで何かと姉と比べられてばかりいたのでそう感じた事はあまりなかった。
結局私達は無難なセーターを選んで店を出た。