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本当の優しさ
【青春 恋愛小説】

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本当の優しさ-15

「俺は千春と再会してから....ずっと自分の気持ちに嘘をついて来た....いいや....自分の本当の気持ちに気づかないフリをして来た....」
「木下君.....」
「もうそんなのイヤなんだ!!」
「.........」
「俺が本当に好きなのは...千春!!お前なんだ....」
「木下君!!」
「臆病者で情けない俺だけど....人を傷付けてばかりの俺だけど....良かったら付き合ってくれ!」
「いいの?....本当にいいの?」
「千春がいいなら....」
千春は大きく頷いた。初めて俺は自分から気持ちを伝える事が出来た....



私は立ち上がり通りに出て和哉達に背を向けて歩き始めた....

今日はクリスマスイブ...

誰もが愛を囁き合う特別な日....

だから....

私がサヨナラを告げても....

目立たない....

私が泣いていても....

誰も気づかない....

私が愛したくらい....

私の事を思ってくれたら.....

こんなに傷ついたりはしない....

私は溢れ出てくる涙を見られないように下を向いて歩いていた....

「すみません....」
ぶつかりそうになった女性に謝った時
「美咲?どうしたの?」
聞き慣れた声がした....顔を上げると....そこに....理彩と直輝君が立っていた.....
「理彩ぁ」
私は理彩に抱きついた....「何があったの?美咲?」
「ゴメンね....」
私はそう言うのがやっとだった....
理彩は優しく私を抱きしめてくれた....直輝君は優しく私の肩を抱き心配そうに私の顔を見ていた....
「あっ.....」
ふと顔を上げた理彩がそう漏らした....理彩の視線を追った直輝君の目に木下君と千春さんの姿が映った....
「カズヤァ!!」
私は走りだそうとした直輝君の右手を両手で掴んで引き止めた。
「いいの!」
「でも!!」
「本当に...いいの.....」
私は必死で直輝君を引き止めた。木下君達は私達に気づかないで私達と反対方向に歩いて行った。
「私のほうからフッたの!大嫌いって....だから....」
「北原ちゃん....」
「美咲...大丈夫?」
理彩が優しく私の頭に手を回した....
「理彩ぁ...ゴメンね....」
私は理彩の胸に顔を押し当てて泣いた....理彩は優しく私の頭を抱きしめてくれた.....
「ゴメ...ンね....デー..トの..邪...魔を...して....もう少...しだ...け....このままで....いさせて.....」
「何言ってるんだよ!北原ちゃん!一晩中でも付き合うよ....それで北原ちゃんの心が少しでも楽になるなら.....」
直輝君は優しく私の肩を抱きしめて声をかけてくれた....
「直輝の言う通りよ!私達は友達でしょう...」
「あり....がと....う....」
私は理彩の胸で声をあげて泣いた....



今にも

雪が降り出しそうな

凍てつく寒さの中なのに

私は

春の陽差しのような

暖かさに包まれていた....


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