慶子-7
少しぐらい乱暴でも、今の三田村がそうすることを望んでいるならば、受け入れたいという気持ちが慶子の中にはいつもある。
激しく攻めたててくる舌に口中を犯されながら、慶子の身体はじんわりと潤みを帯び始めていた。
着衣越しに伝わる三田村の熱い強張り。
愛する人の肉体が自分を欲している。
その事実だけで、慶子の抵抗する気力は一気に萎えてしまうのだった。
「―――真ちゃん」
やっと解放された唇で、愛しい名前を囁く。
それには答えないまま、三田村は慶子の首筋に唇を強く押し付けながら、ブラウスのボタンを外し始めた。
だんだんあらわになる上半身。
三田村は、そこに次々と激しいキスの雨を降らせながら、いつもより少し乱暴な手つきで服を脱がせていく。
跡が残ってしまいそうな、痛いくらいの口づけ。
全身を這う生暖かい感触に、クラクラするような快感が込み上げる。
「……あ……んっ……んんっ……」
きつく目を閉じた慶子の口からは、すでに押し殺したような甘い吐息が漏れ始めていた。
ブラウスとスカートを脱がされ下着だけの姿になった時、三田村の身体が一瞬ふわりと離れたような気配を感じ、慶子は目を開けた。
男らしいくっきりとした眉と、少し憂いを帯びた優しい眼差し――いつもと変わらない大好きな三田村の顔。
しかし、その誠実そうな唇から発せられた言葉は、慶子が思いもよらないものだった。
「……ホンマのセクハラってどんなことされるんか……教えたるわ……」
そう言いながら三田村がベッドサイドから取り出したのは、以前慶子が「疲れている時にいつでも安眠出来るように」とプレゼントしたアイマスクだった。
「……ちょ…待って……?」
突然の展開に耳を疑う。
「ええやろ?……慶子みたいな世間知らずには、こういう勉強も必要や……」
ゾッとするような囁きとともに視界が奪われ、次に何をされるかわからない不安感が一気に慶子に襲い掛かってきた。
自分でアイマスクを外すことも出来なくはなかったが、三田村の身体から香ってくる強烈な女の匂いが、呪縛のように慶子の抵抗力を奪う。
性に奔放な女性を彷彿とさせるセクシーなその香り。
三田村が浮気をしたとすれば、恥ずかしさからついセックスに消極的になってしまう自分にも責任があるのかもしれない。
慶子は無意識のうちに自分で自分を責め始めていた。
「……な…何するん……?」
「セクハラや……俺じゃなくてあの課長に無理矢理されてると思ってみろや……」
聞いたこともないような三田村の妖しい声。
それと同時に両方の乳首に甘い刺激が走った。
爪の先で先端だけを素早く引っ掻くような絶妙なタッチ。
触れられている部分が狭いだけに、そこに全ての意識が集中する。
これまで体験したことのない、ゾクゾクするような感覚が全身を駆け抜けた。
「あっ…ああっ……やっ……」
見えないことで感度がいつもより高まっているのか、情けないほど感じてしまっている。
「課長にされてんのに、そんなに感じるん?―――」
「……違…そんなんじゃ……」
責めるような冷たい口調で言いながら、尚も乳首を弄り続ける三田村。
微かにしこり始めてきたその部分をつまみ出し、突出した敏感な先端を更に激しく擦りたててくる。
「ああっ……ダメ……いやぁっ……あぁっ……んんっ……あっ……ああっ………」
屈辱的な行為をされているのに、触れられた部分から全身にむずむずとくすぐったいような快感が走り、溢れ出した淫蜜が、太腿までもべったりと濡らしていくのがわかった。
「ああっ…真ちゃ……もう…かんにん……して……あっ……ああっ……あああっ……いやっ……はぁっ……あああっ……!」